店では商品見せるだけ〜紳士服ボノボス、販売はネットで

 オンライン紳士服販売のボノボス(Bonobos)はこのほど、商品試着と店員によるアドバイスだけをサービスにする店舗「ボノボス・ガイドショップ」をワシントンDCにオープンした。ニューヨーク、ボストン、シカゴ、サンフランシスコに次いで5店目となる。

 USAトゥデイによると、ボノボス・ガイドショップでは、テーブルの上に洗濯済みの見本も含めたパンツやシャツがサイズ、色をそろえて置かれているが、どれも試着用で、気に入った服はオンラインで注文しなければならない。来店者のほぼ半数はオンラインで試着を予約した人々といい、店には通常、多くても2〜3人しか客がいない。店に入ると2〜3人のスタッフが迎え、ビールを出してくれる。

 その場で商品を買うことによって得られる瞬間的な満足感よりもサービスの方が重要、というのが創設者アンディ・ダン氏の考えで、オンライン小売業界ではボノボスのようなやり方を取る店が増えている。オンライン眼鏡ブランドのウォービー・パーカー(Warby Parker)やギャップのオンライン・レーベル、パイパーライム(Piperlime)は、客が商品を試せる実店舗をオープンしており、アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)も、電子書籍リーダー「キンドル」シリーズを見て触れる店舗のオープンを検討している。

 これらは全て、実店舗では商品を売ることより使わせることに重点を置き、年間1500億ドルを売り上げている電子機器大手アップルの手法を参考にしている。近年は、店では商品を見定めるだけで注文はオンラインという消費者が増えており、IBMの最新調査によると、オンライン購入者の約半数がこの方法を取っている。ただし、そのうち約34%は最終的にオンライン販売専門の小売店で商品を購入しているため、実店舗を持つ業者は不満を感じている。

 市場調査ガートナーのケビン・スターナカート氏は「これは小売り部門がいかに変わったかを示す好例。店は物を買う場所ではなく物を体験する場所になっている」と指摘する。一方で、オンライン小売り業者ネットワーク「ショップランナー(ShopRunner)」のフィオナ・ディアス氏は「店に行くのは商品がすぐ手に入るから。見せるだけの店を出す業者には戦略が分かっていないように思える」と話している。

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