パンデミック中に浸透した消費行動が定着 ~出前注文や運動がハイブリッド型に進化

新型コロナウイルス・パンデミックのあいだに身についた消費者の買い物習慣が消えずに進化の様相を示している。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、オンライン買い物の成長が鈍化し、実店舗での消費がおおむねパンデミック前の水準に戻っているが、「ハイブリッド」とも呼べる消費行動がパンデミック収束後にも残っている。

▽パンデミック後でも継続する5つの習慣

たとえば、レストランでの持ち帰りをオンライン注文する人はいままで以上に増えている。宅配ではなく店頭受け取りにすることで配達料やチップといった出費を節約する人が増えて定着したためだ。

パンデミック期間中に習慣化し、いまでも残っている消費者行動にはいくつかある。そのおもなものとして下記5つが挙げられる。

1.食事のモバイル注文

スマートフォンから食事を注文する行動は、以前には夕食や昼食が多かったが、最近では朝食やコーヒーと軽食にまで広がっている、と市場調査会社ユーロモニター・インターナショナル(Euromonitor International)のドロシー・キャルバ氏は指摘する。

2.運動の複合化

フィットネス・クラブの会員らはジムに戻ってきているが、自宅で運動する人がパンデミック中に急増して定着した。自宅用機器の購入や、運動支援アプリケーションの有料サービスの利用といった「マルチチャンネル」での運動をしている人が増えている、とユーロモニター・インターナショナルのダビデ・カルゾーニ氏は指摘している。

3.動画通話

従業員らが職場に戻っても動画通話が減ったわけではない。マイクロソフトによると、チームスで行われる仮想会議の利用者一人あたりの件数は2020年から3倍に増えた。パンデミックによって一躍台頭したズームも、売上高成長率は1桁台に下がったものの依然として成長基調にある。

4.モバイル決済

米国ではスマートフォンやスマート腕時計による決済がパンデミック前にはそれほど普及していなかった。モバイル決済がもっとも大きく成長したのは、新型コロナウイルス・パンデミックが始まった2020年だった。いまでは運転免許証から健康保険証までさまざまのものがデジタル財布で管理できるようになり、その利用が定着した。

5.小売店に行く前のオンライン注文

オンライン注文は食事だけにかぎらない。スーパーマーケットやホーム・センターの買い物にも広がっており、ロウズ(Lowe’s)やウォルマート(Walmart)に行く前にオンラインで注文し、店頭で受け取る人が増えている。

「オンラインで買って店舗で受け取り(Buy Online Pick-up In Store)」の略でボーピス(BOPIS)と呼ばれる買い物行動は、パンデミック後でも定着しており、それに対応する店舗も激増した。デジタル・コマース360(Digital Commerce 360)の調べによると、北米の売上高番付け上位500社に入る小売店チェーンの83%近くがボーピスの選択肢を提供しており、2022年の76%から増加している。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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