会議のスケジュール調整を人工知能で効率化することで従業員や事業の生産性を高めることへの関心が強まっている。ベンチャービート誌によると、会議スケジュール管理支援ソフトウェアを提供するカレンドリーは、調査報告書「会議調整の現状(State ofScheduling)」を最近発表し、会議や会議調整に関する問題点と解決策を示した。
▽会議が少ないほど生産性は高まるという定説に一石
カレンドリー(Calendly)の調査では、米国と英国の1200人の従業員を対象に、会議のスケジューリングや時間管理に対して感じていることを尋ねた。回答者の61%は、週3時間から5時間以上を会社の目標達成に貢献する会議に費やしていると答えた。そのうち85%は、自分の職場の会議の生産性が高いと感じていた。
同調査では、成功している会社や個人の場合、成功にとって会議は欠かせないと感じている様子が浮かび上がった。会議が少なければ少ないほど生産性は高まるという従来の考え方とは異なる結果だ、とカレンドリーは指摘している。
▽25%は会議調整に週3~4時間
ではなぜ、会議の価値があまり評価されないのか。カレンドリーのスティーブン・スー製品責任者は、「時間を見つける、議題を作成する、ノートをとる、フォローアップを管理するといった会議周辺作業が多くの人に嫌われている」と指摘する。
たとえば、営業や販促担当の回答者の21%は、会議をスケジュールするのに三つ以上の異なるツールを使っていた。また、全回答者の25%が、週3~4時間を会議調整のために費やしていると回答した。
そのほか、人材資源管理分野では回答者の46%が、年に4週間相当の時間を会議調整に費やしていることが判明した。
▽人工知能への期待と見返り
そういった会議周辺時間を節約する効果的方法として人工知能の有効性に関心が高まっている。
カレンドリーの調査では、94%が、人工知能やスケジューリングの自動化技術がもたらす可能性に対して期待を感じると回答した。また、32%は、人工知能の活用によって自由に使える時間が増えるのであれば、もっと戦略的な計画策定や創造的な仕事に割ける時間を増やせると回答した。
「スケジューリング自動化を介して会議を効果的に行えば、事業の収支を向上させられる」「人工知能がもたらす真の投資見返りは、従業員らの会議体験を最適化して、仕事の流れのあらゆる段階で会議に必要な従業員とデータを取り込む順応性の高い事業体をつくれる点にある」とスー氏は話している。
▽既存ソリューションの限界
会議の管理に役立つソリューションには、ザピアー(Zapier)やマイクロソフト・パワー・オートメート(Microsoft Power Automate)、セールスフォース・フロー(Salesforce Flow)をはじめいくつもあるが、それらは論理的設計を土台とするため柔軟性は高くない。
一方、人工知能を土台とするシステムは、固定的な枠組みに縛られることがない。すべてのシステムから情報を取得し、必要な時点で必要な情報を引き出し、会議に参加すべき従業員らを必要に応じて関与させることができる。
▽必要なときに必要な人たちの会議を調整できるのが強み
会議に関する現時点での人工知能活用というと、議事録を自動作成するといった部分に関心が向きがちだが、向こう3年以内に人工知能がもっと多くのことを実行するようになる、とスー氏はみている。「適切なタイミングで適切な会議に必要な担当者らを巻き込むことで、もっとも関連性の高い知識が会議で反映されるようにするという点において、人工知能がもっと重要な役割りを果たすようになるだろう」と同氏は話す。
たとえば、営業の場合、製品に関する知識程度の確認または向上を目的とする会議と、見込み客の特定や売り込み方法に関する会議では、会議に参加すべき顔ぶれがまったく違う。従来のソリューションではその違いは識別できないが、人工知能ならしかるべき担当者らを特定した会議を自動調整できる。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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