テスラ車の事故修理費はかなり高いが、テスラ以外のEVはガソリン車とそれほど変わらないという調査結果を、事故修理管理ソフトウェアを提供するミッチェル(Mitchell、カリフォルニア州)が発表した。
■テスラ車は1347ドルも割高
オートモーティブ・ニュースによると、ミッチェルは23年7~9月期の自動車事故修理データを発表した。事故1件当たりの修理費はテスラが平均5552ドル、非テスラのEVは4474ドル、ガソリン車は4205ドルだった。
ミッチェルのデータは、全米の修理工場の約25%で使われている同社のソフトウェア・プラットフォームにアップロードされた車の修理代が基本になっている。
マーケットウォッチ・ガイズが発表した9月の分析結果によると、テスラは保険料が最も高いブランドの一つで、22年モデルのフルカバー料金は月平均251ドルと全米平均を74%も上回っている。ミッチェルによると、テスラを含むEVブランド全体の平均修理費用は5155ドルで、ガソリン車より950ドル高かった。ただし、平均6270ドルだった22年7~9月期からはEVの修理代は下がっており、理由には、テスラ以外のEVモデルの販売増加や、テスラによる大幅な値下げなどが考えられるという。車の買い替えコストが低いと高額な修理を受けるより全損と判断される可能性が高く、データ上の平均修理費用は下がる。
■先端技術をより早く搭載
ミッチェルによると、EVの修理代が高くなるもう一つの理由は、EVがガソリン車よりも新しく、価格が高いことにある。平均的なガソリン車は16年モデルだが、EVの平均は22年モデル。米国ではテスラが独占していることもあり、EVのほとんどが高級車となっている。
同等の車種や年式で比較すれば、EVとガソリン車の修理代の差は縮まる。例えばテスラの量産型EVセダン「モデル3」の修理費用は、同じ年式のガソリンエンジン車のBMW「3シリーズ」やメルセデス・ベンツ「Cクラス」よりも高いが、その差はわずかでしかない。
とはいえ、運転支援技術や予備カメラなどの導入により、事故の際の修理代や保険料はガソリン車も含め全ての車で上昇傾向にある。新しい車は新しい部品や素材が導入され、修理にはより高水準の技術者がより長時間作業しなければならない。
また、EVの修理代が高いのは、電池パックの分離に時間がかかることも理由だ。作業事故を避けるため電気を遮断することがあり、メーカーによっては電池パックを取り付けたままでは塗装作業ができず、取り外して保護する。ただし、事故後に電池を修理、交換することは少ないという。
ミッチェルは、車の修理にかかる時間や費用はブランド満足度に影響するため、EVメーカーは今後、デザイン変更を通じて修理性を向上させる可能性が高いとみている。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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