ビザ(Visa)は、オンラインでの詐欺や不正使用を防ぐために人工知能を活用した対策を強化している。
ベンチャービート誌によると、クレジット・カードを使った買い物が年末商戦期中に激増することで小売業界とオンライン決済サービス業界の売り上げは上がるものの、サイバー犯罪者たちが活発化する時期でもあり、損害最小化や消費者保護の面において対策強化を迫られている。
ビザの最高リスク責任者ポール・ファバラ氏は、「歴史的にみて、年末商戦期は詐欺師たちのスーパーボウルであることがわかっている」と話す。「オンライン買い物は大幅に増えており、同期間中のオンライン決済はサイバー犯罪者たちによって特に標的にされている」。
ビザが年に2回発行する最新のサイバー脅威報告書によると、サイバー詐欺師らは、オンライン詐欺犯罪を自動化および拡張できる生成人工知能ツールを含むデジタル・ツール群の活用に注力している。サイバー犯罪者たちによる技術応用は非常に活発で、消費者たちを騙す手口は毎年、巧妙化している。
チャットGPTのような生成人工知能ツールによって、犯罪者らは説得力のあるフィッシング詐欺の設計のほか、人工知能による詐欺検出を回避するマルウェアの開発、社会工学(人を騙すための巧妙な手口)を進化させている、とビザは警鐘を鳴らしている。
ビザでは、「過去10年間、より安全でスマートな資金移動を可能にし、不正行為を積極的に特定して防止するために、人工知能技術とデータ基幹設備に30億ドル以上を費やしてきた」とファバラ氏は説明する。「われわれは現在、数百の人工知能モデルを運用して、100を超えるリスク管理製品を動作させている」。
ビザの人工知能基盤の不正取り引き(詐欺)防止技術は、オンライン決済をリアルタイムで分析し、300ミリ秒以内に最大500の固有のリスク要因を評価して、犯罪行為を正確に特定する。
金融サービス業界における人工知能工学者やデータ科学者らの雇用機会が技術業界を除く他業界で非常に多いのにはそういった背景もある、
詐欺師たちの人工知能とビザの人工知能が対決するなか、ビザでは、人間の知能も重要な役割りを果たしている、とファバラ氏は強調する。「われわれは、クレジット・カード決済を受け付ける加盟商業者を含む決済生態系全体の会社や団体らと協力して、潜在的な不正行為を特定し、つねに調査している」と同氏は説明する。
ビザによると、消費者にとってオンライン詐欺から自身を守る最初の方法は、1)多要素認証の使用、2)複雑で固有の認証語の設定、3)高度のフィッシング戦術に注意することが含まれる。
マッキンゼーの最新の調査報告書によると、電子商取引の売上高は過去5年間で2倍になり、2026年までにさらにほぼ2倍になると予想される。それはまた、年末商戦における詐欺被害額がさらに大きくなることを示す。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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