カナダのアルバータ大学の発表によると、消費者サービス・ボットが消費者たちのあいだで不評であることがアルバータ大学経営大学院の研究によってあらためて浮き彫りになった。
▽消費者はサービス・ボットに厳しい
アルバータ大学経営大学院のノア・カステロ販促学教授が主導した研究および調査報告書では、顧客対応ボットとやり取りしていると悟った実験参加者らは、実際にそうであるかどうかにかかわらず、顧客対応体験の質を低く評価することが明示された。
その理由の大部分は、サービス・ボット(顧客対応ボット)が自動化による業務効率化ではなく、当該商業主に利益をもたらすことを目的としていると消費者らが考えるためだ。
また、サービス・ボットの性能が人間と同等の速度や対話力であっても、消費者は、それがボットであるかぎり不満を持つことに変わりないことも判明した。
▽広範の業界で導入加速
近年、消費者サービス・ボットを導入する会社は激増している。人工知能技術の発達によって、対応能力の質が上がっていることや、ボットによってコストを大幅に削減できることがその原動力だ。
カステロ氏によると、消費者サービス・ボットは小売やレストラン、ホテル、病院といったさまざまの業界ですでに採用されている。現場での接客からオンラインでの問い合わせ対応を含め、用途も拡大している。2021年のチャットボット世界市場は38億ドルと見積もられる。
▽ボットを使っていることがわかれば肯定的体験でも共有しない
「今回の調査結果はわれわれにとってやや驚きだった」「サービスの質が同等であれば、それが人間なのかボットなのかにかかわらず、人々は同じ評価をくだすと予想していた」とカステロ氏は話す。
また、人々は、任意の会社の商品やサービスに関して肯定的印象をいだいたとしても、その会社がサービス・ボットを使っていれば、肯定的書き込みをソーシャル・メディアで共有する意欲が低下する、と同氏は指摘した。したがって、消費者サービス・ボットは、それを使うことで会社にとってマイナス影響をおよぼす、と同氏は話した。
▽対応力が優秀なら高評価という実験例も
カステロ氏の研究では、参加者らは人間またはチャットボットとのやり取りを完了するよう無作為に割りあてられた。 やり取りは、コーヒー店のような物理的現場や、ホテル予約係または電話サービス・プロバイダーとのオンラインの両方で実施された。
実験参加者らは顧客サービスに対する満足度と、サービスを提供する会社に対する認識を測定する質問表に回答した。その結果、参加者らはボットとのやり取りについて厳しい姿勢になることが明示された。
ただ、人間の担当者よりも速くて正確なやり取りを可能にするボットについては、ボットに対する偏見がなく、人間相手よりも高い満足度の評価を受けた実験例もある。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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