中国の新興自動車メーカーは、国内人気に乗じて電気自動車(EV)レースの先頭に立っている。海外の同業より速く車を開発し、スマート技術の限界に挑戦しながら消費者に多くの選択肢を提供している。
◇開発期間を30%短縮
ウォールストリート・ジャーナルによると、中国の自動車メーカーは伝統的なメーカーに比べ車の開発期間が約30%短いと、業界幹部らは話す。その大きな理由は、何十年にもわたり複雑な内燃エンジン車を製造してきた業界の世界的な慣行を覆していることにある。並行して複数かつさまざまな段階の開発に取り組み、従来のサプライヤーをより小規模で小回りの利くサプライヤーに切り替えることをためらわず、時間のかかる機械的試験よりもコンピューター上のバーチャル試験を増やして、車の発売準備期間というものを作り変えている。
海外の自動車メーカーは、中国に遅れていることを隠さず、かつてはその他大勢と見ていた中国メーカーへの警戒を強め、EV需要が停滞する中、中国の優れた能力と強い野心で世界中に安価な車があふれるのではないかとの懸念も生まれている。
◇まず売って後で更新
現在、多くの老舗自動車メーカーがプロジェクト開始から納車までに約4年かかっているが、中国を代表する新興EV企業の一つ蔚来汽車(NIO)では3年もかからない。理由の一つは、将来のソフトウェア更新によって頻繁に車載機能を追加できるよう、未使用の技術を搭載した車を販売しているためだ。つまり、販売時点のソフトウェアではサポートできない高度なチップ、カメラ、センサーなどがすでに設置されている。同社製品委員会のマーク・ツォウ代表は「新しい技術をより早く市場に投入できて、それが信頼できる技術であればシェア獲得の機会はより大きくなる」と述べた。
また、数十年の歴史を持つ吉利汽車(ジーリー)のEV部門ジーカー(Zeekr)は、一から自動車を開発するのに24カ月しかかかっておらず、ポールスターやスマートといったジーリー傘下のブランドと製造やデジタル機構を共有して、SUV、多目的車、ハッチバックなど多様なモデルを迅速に投入している。
◇頻繁に刷新
中国は現在、世界で最も多くのEVを販売している。中国のメーカーは顧客重視を徹底しており、運転支援機能から情報娯楽機能までソフトウェアやデジタル技術を積極的に導入するほか、絶えずモデルを刷新している。
中国の消費者はできるだけ新しい車を好む傾向があるため、車の「賞味期限」は短い。アリックスパートナーズの分析によると、海外ブランドが販売モデルを更新または刷新する間隔は平均4・2年だが、中国のEVメーカーはわずか1・3年となっている。今では多くの国際自動車メーカーが中国の同業から学ぼうとしており、フォルクスワーゲン(VW)や日産は中国方式の一部を取り入れて工程の迅速化を図っている。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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