ゴーンを信じて大丈夫か〜日産のEV販売振るわず

 日産自動車の電気自動車(EV)販売が当初の見込みを大きく下回っており、同社の精神的支柱としてEV販売を推進してきたカルロス・ゴーン社長の信頼が揺らいでいる。

 ブルームバーグ・ニュースによると、ゴーン社長は2009年、「EVが世界で次のT型フォードになる」と宣言しながら、デンマークなど各国で日産が自動車革命を主導することを想定した50億ドルのEV販売計画を発表した。3年後の12年現在、デンマークで売れた日産のEV「リーフ」はわずか73台となっている。

 10年後には世界で売られる車の10台に1台がEVになるというゴーン氏の予言もむなしく、EV需要は依然として低く、価格は高いまま、充電施設の拡大も進まず、12年の米販売台数は日産の目標の半分にとどまった。みずほ投信投資顧問の青木隆シニアファンドマネジャーは、「日産が複数の市場で目標の数字を下回ったことで、信頼感が揺らぎ始めた」と指摘する。

 それでもゴーン氏は強気を崩さず、志賀俊之最高執行責任者(COO)を4月1日付でEV事業の統括責任者に据えてEVをさらに重視する姿勢を見せた。新体制発表の数日後、ゴーン氏と同様に壮大なEV推進計画を掲げる中国の経済企画当局が、日産との合弁で15年までに年間5万台のEVを現地生産すると発表した。しかし、リーフはこの2月に世界累計販売台数が5万台に達したばかりだ。

 英ヘッジファンドGAMのファンドマネジャー、ベン・ウィリアムズ氏は「EVの量産は時期尚早。世界的にインフラ整備が進んでいない。航続距離への懸念も根強い」と話している。

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