フラッキングに厳しい基準を〜業界と環境団体が共同で策定
- 2013年3月25日
- 米国ビジネス
けつ岩層(シェール)の天然ガスを取り出す新技術「フラッキング(水圧破砕)」をめぐる環境懸念に対応するため、エネルギー業界と環境保護団体、慈善団体が協力して、東部のマーセラス・シェールでこの技術を使う企業に適用される厳しい基準策定のための機関を設立した。
ロサンゼルス・タイムズによると、機関の名称は「Center for Sustainable Shale Development」(存続可能なシェール開発センター=CSSD)。この種の機関としては米国初となる。
マーセラス・シェールはニューヨーク州中部からケンタッキー州東部に広がり、現在はペンシルベニアを中心に天然ガス生産ブームが起きているが、同時に環境汚染の懸念も高まっている。CSSDは、ペンシルベニアを基準に水や大気の質を維持し環境を守るための厳しい作業基準を定め、エネルギー各社が基準に従っているかどうかを独立監査組織が審査、認証する。機関の活動資金は業界と慈善団体が負担し、年内分として約80万ドルの予算を組んだ。
CSSD設立に協力したのは、エネルギー業界ではシェル、シェブロン、コンソル・エナジー、EQT、環境団体ではクリーンエア・タスク・フォース、環境保護基金、シチズン・フォー・ペンシルベニアズ・フューチャー、ペンシルベニア環境評議会など、慈善団体ではハインツ・エンダウメンツやウィリアム・ペン財団など。
CSSDが定める基準に強制力はないが、その内容は連邦や州の規制より厳しくなる。例えば、連邦法ではフラッキング用の化学液にディーゼル燃料を使うことを認めているが、CSSD基準ではこれを禁じ、他の液体についても多くの州より詳しく開示するよう求める。また、関連企業には、環境保護局(EPA)が設定した期日より前に新連邦排ガス基準を満たすことも奨励する。
CSSD認証は2013年7〜9月期にも申請受け付けを開始し、年内には最初の認証企業が決まる見通し。
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