自動車メーカーは今後数年間に数十の新しい電気自動車(EV)の発売を計画しているが、EVの購入を検討する消費者の割合は以前より低下している。
◇4分の1が「嫌い」
オートモーティブ・ニュースによると、エドマンズが1月に実施した調査では、自動車購入を考える人のほぼ4分の1(23%)が「EVは嫌い」と答え、前回調査(2023年4月)の19%から上昇した。JDパワーの2月の調査でも、「次の車としてEVを検討する可能性が非常に高い」と答えたのは24%で、4カ月連続で低下した。「EVを検討する可能性は非常に低い」と答えた人の割合は1年前の約19%から22%超に上昇している。
EVに対する消費者心理の低下で、自動車ディーラーは苦戦を強いられている。コックス・オートモーティブによると、EVのディーラー在庫は2月に159日分、3月中旬に114日分に上っている。エドマンズのジェシカ・コールドウェル氏は「価格、移動中の充電の難しさ、信頼するメーカーのモデル数の少なさなど、多くの理由で消費者はEVの購入に消極的だ」と話す。トヨタが現在販売しているEVは1台だけで、ホンダは販売しておらず、年内に電動クロスオーバー「プロローグ」を発売する予定。
EVの新規登録台数は、増えてはいるもののペースが鈍化している。S&Pグローバル・モビリティーによると、23年通年の増加率が前年比52%だったのに対し、24年1月は前年同月比15%増にとどまった。1月のライトビークル登録台数に占めるEVの割合は約8%で、前年同月は7%だった。
◇充電や価格が大きな壁
JDパワーの報告書によると、EVを拒否する人の多くが、公共の充電施設が利用できないことをEV購入の最大の障壁に挙げている。充電にかかる時間、航続距離の制限、自宅や職場では充電できないこと、停電や送電網への懸念なども彼らを消極的にさせている。
また、EVを拒否する人の4分の1近くは、その理由として極端な暑さ、寒さでの性能不足を挙げた。シカゴでこの冬、充電施設にテスラ車の列ができていたことなどからも、極寒の環境ではEVの充電に時間がかかるという理解が広まり、その不安を増幅させた可能性が高いと見られている。
さらに、消費者は現在売られている車よりはるかに安いEVを望んでいる。エドマンズの調査では、ほぼ半数が4万ドル以下のEVを希望し、20%以上が3万ドル未満の価格を求めていた。現在、新型EVで3万ドル以下のモデルは存在せず、4万ドルを下回るのは「ミニ・ハードトップ2ドア」「日産リーフ」「フィアット500e」「現代コナ・エレクトリック」の4車種だけとなっている。
コールドウェル氏は「調査の回答が必ずしも購買習慣と一致するとは限らず、消費者は買いたい車を見つければより多くのお金を使う傾向がある」と指摘しているが、それでもほとんどのEVは希望の価格帯をはるかに超えている。特に、最も若い消費者の多くはEVに最も興味を持っているが、EVを購入できる可能性は低いと考えられる。エドマンズ調査では、18~24歳の約90%が「次の購入でEVを検討する」と回答し、24~34歳の83%は「EVの購入に興味がある」と回答している。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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