VW・ホンダの新ブランド戦略にディーラー憤慨

フォルクスワーゲン(VW)やホンダが、電気自動車(EVの)新しいサブブランドをディーラーを通さずに販売する可能性を提示したため、ディーラー側が強く反発している。

◇直販方式

インサイドEVsによると、従来の自動車メーカーが直面している最大の課題の一つは、テスラ、リビアン、ルシッドといった新興EVメーカーがディーラー網を持たず簡単に車を販売していることだ。州法で認められていれば、自動車メーカーは既存のディーラーを通さずに消費者に直接販売できる。

そこでVWは22年半ば、米国のオフロード車ブランドだった「Scout(スカウト)」をEV専門で復活させるにあたり、VWブランドから独立して管理する計画を打ち出した。これは、VWグループの販売が伸び悩む中、既存のディーラーネットワークがスカウト製品に対する販売権を失うことを意味する。製品には新規顧客を獲得しやすいトラックも含まれる。

同年末には、ソニーとホンダの共同出資会社ソニー・ホンダモビリティ(SHM)が開発中のEVブランド「AFEELA(アフィーラ)」について、既存のディーラー網を活用して販売するとは限らないと表明した。まだ確定ではないが、ディーラー排除の可能性もあるためディーラー側は強く抵抗している。北米の100を超える新車ディーラー協会の幹部で作るATAE(Automotive TradeAssociation Executives)は、自動車専門誌オートモーティブ・ニュースに以下のような全面広告を出して両社を非難した。

「既存の自動車メーカーと直接または間接的に関係する企業は、全米のほとんどの地域でフランチャイズ・ディーラーを使わずに新車を販売することが州法で禁じられている。全国で起こりうる法的措置を回避し、適用される法律や規制を完全に順守するにはフランチャイズ・ディーラーの利用が販売成功への最も確実な道であり、ディーラーはこれらの新車の小売店としての役割を果たし、ブランド、ディーラー、顧客がともに成功することを望んでいる」

◇売る権利を主張

この広告によれば、スピンオフ・ブランドがすでに確立された自動車メーカーの系列である以上、ディーラーにはこれらの車を販売する権利があるというのがディーラー側の考えだ。ディーラーとブランドは2年近く協議を続けているが、ATAEのジョン・デルビン会長は、メーカーがディーラー抜きで販売を進めるのなら業界は可能な限り抵抗する意向で「彼らが車を直接販売したいなら、それはとてつもなく困難な闘いになるだろう」「われわれは事態が間違った方向に進んでいると考えている。最後には朗報を得られることを願うが、積極的に先手を打ちたかった」と話している。

ソニー・ホンダの「アフィーラ」は、25年にセダン型EVの生産を開始し、翌年には米国で販売を開始する予定。「スカウト」は26年からボディー・オン・フレームの電動ピックアップトラックとSUVを生産する予定だ。生産スケジュールに余裕がないため、両ブランドはディーラーとの長い法廷闘争に巻き込まれないよう、迅速に最終決断を下す必要がある。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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