ニューヨーク市拠点の新興企業シンケイ・システムス(Shinkei Systems)は、捕獲魚の神経締めを機械化する技術開発の最終段階に進んでいる。
捕獲した魚の処理はこれまで長きにわたって乱雑だ。多くの場合、魚は甲板で窒息死し、そのあいだにバタついて身体を傷つける。それによってバクテリアに感染する結果、賞味期間が短くなり、味も落ちるという問題がある。
それを回避する方法として、日本では活け締めという伝統的な手法が用いられてきた。魚の脳や急所に包丁や針を入れてすばやく絶命または気絶させ、血を抜く手法だ。魚を無駄に苦しませず、また鮮度を保つという利点がある。しかし、その方法を用いるには熟練の技が必要なうえ、人間が処理できる数には限界がある。
テッククランチ誌によると、それを機械化することを目指すシンケイ・システムスは、2022年に最初の試作機を開発し、漁船に搭載して試験と改良を重ねてきた。同社の機械は、魚を押さえて種類や形状を特定したうえで、どこに脳があるかを判断して、すばやく絶命させる。
設立者のサイフ・カワージャ氏は、過去2年にわたって改良を重ねた結果、絶命させる手段を機械式に変えたり、そのほかの改良を加えたりして信頼性を高めてきた、と説明している。最新の機械は、モジュラー式で配置を変えられるため、複数のラインを形成して魚を処理できる。また、魚を分析する機械視認(コンピューター・ヴィジョン)も継続的に改良されているという。
同社はこれまでに600万ドルを資金調達した。その資金によって試作機から製品化に前進し、2024年末までに10機を実地に運用することを目指している。同社はまた、二つ目の機械として、脊髄を破壊して中枢神経を完全に除去するための機械も開発中だ。その機械は、魚をさばいて切り身をつくる過程を一歩前進させる。
活け締めの技法を自動化することで漁業の経済性に大きな変化をもたらせる、とカワージャ氏は考えている。その自動化技術が実用化されれば、漁業とその川下のムダを省き、魚の販売と流通、消費のあり方に革新をもたらせる、と同氏は述べた。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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