カリフォルニア州サンノゼ市は、人工知能を活かして行政サービスを改善かつ効率化する方策を模索している。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米国各地の自治体政府が人工知能の導入に関心を寄せる一方で、データを多用する技術の導入をめぐってはプライバシー侵害の懸念も指摘されている。
サンノゼ市は以前に、路上に放置された車両や通行の妨げとなる廃棄物を把握するために、公用車にカメラを搭載して市内を巡回したことで物議をかもした。その試験運用では、住居として使われている車両を検出できるかどうかも評価しようとしたことが一因だった。その種のデータの使用法はプライバシー侵害にあたる可能性がある、とホームレス擁護団体らが警鐘を鳴らした。
サンノゼ市は、そうした経験をほかの自治体と共有してたがいに学び合うことを目指している。2023年11月には、行政における責任ある人工知能の使用法の標準を設定すべく、「ガヴエイアイ連盟(GovAI Coalition)」の創設を発表した。これまでのところ、300以上の市町村・郡・州・連邦政府機関が参加している。
サンノゼ市が現在行っているのは、路上安全性改善のための試験運用で、路面の穴や落書き、伸びすぎた植物、自転車通行路に駐車した車といった危険要因や迷惑行為を検出することを目的としている。「私たちのモデルを従来の反応的(受け身的)から先行予防的(能動的)に変えられるかどうかを見きわめたい」と、同市の最高情報責任者カーリド・トーフィク氏は話している。
また、市の職員が日常の業務でノートをとったり、長い文書を要約したりといった目的にも人工知能を使える、と同氏は考えている。
一方で、現時点では人工知能が使われるべきではない用途もあるとサンノゼ市は考えている。たとえば、ほかの市や行政機関が市民に直接的に対応する目的で人工知能を導入したが、不正確な情報を提供したことがあった、と同氏は指摘する。
人工知能が大きな価値をもたらし得る使い道として、トーフィク氏は、反復の多い作業を挙げる。たとえば、建物管理に関する許可証の申請については、最初に申請書を受け取ったときに記入漏れがないかどうかを確認する作業を人工知能に処理させることが想定される。担当者の手元に届く時点で書類の不備がなくなり、手続き過程が加速する、と同氏は話した。
また、法律関連の文書の言葉を一般市民にとって理解しやすくすることや多言語への翻訳、さまざまの情報提供経路に応じて調整するといった機能も、行政にとって有益だとみられる。
一方、防犯や取り締まりを目的とした人工知能の活用に関しては、公平性や偏見の懸念がまだ払しょくされていない。しかし、それらの懸念に適切に対応できれば、そういった分野でも役立つかもしれない、とトーフィク氏は述べた。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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