バーコードからQRコードへ~小売業界、27年には完全移行か

ブランドや小売業者は、過去50年にわたり商品識別などで使ってきたバーコードを、より高性能なQRコードに置き換えようとしている。早ければ2027年には会計の際のバーコード読み取り作業がなくなり、結果的に販売や顧客の愛着が高まる可能性がある。

◇多くの利点

ウォールストリート・ジャーナルによると、現在コカ・コーラ、ロレアル、P&Gといったメーカーややそれらの製品を扱う多くの小売業者がこの目標に向けて取り組んでいる。

移行は容易ではなく、業界全体の協力、小売業者のソフトウェアおよびハードウェアの更新、ブランドにとっては製造上の変更、セルフレジを使う買い物客の教育などが必要になる。コストもかかるため、P&Gは新製品の発売と同時にパッケージの図版の改訂、変更によって移行コストの抑制を目指すという。

こうした苦労があっても、QRコードの使用には非常に多くの利点がある。

◇消費者引き付け効果も

米国とカナダで使われているバーコード(UPCコード)は、ブリュッセルの非営利団体GS1が全製品に12桁のコード(米国外では13桁)を割り当てるための標準を作成した1974年に登場した。それ以前は、各商品に表示された価格をレジ担当者が手動入力していたが、バーコードによって商品の情報をレーザースキャンで瞬時に識別できるようになり、小売業者の在庫追跡や販売方法に革命をもたらした。

一方、1994年に発明され、スマートフォンの普及で使用が広まったQRコードは、バーコードよりもはるかに多くの製品情報を保存でき、小売業者は価格のほかクーポンやリコールなどに関するより豊富な情報を盛り込める。買い物客にとっては、スマホでQRコードをスキャンすれば、商品に含まれる栄養、使用方法、サステイナビリティーに関する詳細や、ラベル表示には収まらないお得な情報にアクセスできる。

現在、多くのブランドが会計時にはバーコードを使いながら、ラベルにQRコードを付けて顧客サービスの向上を図っている。例えば、ロレアルはヘアカラーのパッケージに付けたQRコードでユーザーをウェブサイトに誘導し、商品を使った場合の髪の色をディスプレイ上で見せたり、使用法の説明を提供したりして客の購買意欲を高め、売り上げを2~3倍に増やしている。

◇POS対応QRコード

最終的な目標は、一つのQRコードで消費者の引き付けとPOS(販売時点情報管理)および在庫管理の要件を満たすことだ。POSでQRコードを使うには、GS1が定めたデジタル標準を組み込む必要があり、小売業者は新しいスキャンモードに対応できるハードウェアとソフトウェアを準備する必要がある。

GS1は現在、ブランドや小売業者と連携して「サンライズ2027」と呼ぶ米国向けのプロジェクトに取り組んでおり、3年以内に従来のUPCバーコードからPOS対応のQRコードへの完全移行を目指している。実現すればその利点は広範囲に及ぶと見られ、P&Gのデータおよび分析およびデジタル市場開拓担当者は「最も優れた使用事例はおそらく私たちがまだ考えもつかないものだろう。50年前にバーコードを始めた人々が、それが業界や私たちの生活にどれほどの変革をもたらし、どれほど普及するかを想像できなかったように」と話している。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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