米国の電気自動車(EV)販売は、2023年以降140%以上も増えているが、公共充電施設の普及が大幅に遅れ、ばらつきもあるため、今後の成長が妨げられる可能性がある。ロイターが伝えた。
◇新政権の政策に注目
エネルギー省代替燃料データセンター(AFDC)の統計によると、国内のEV登録台数は24年9月現在で350万台を超えた。23年の140万台から大きく増え、米国でのEV増加率としては過去最大となった。しかし、同時期に公共EV充電ステーションの設置数はわずか22%増の17万6032基にとどまった。充電インフラの展開が遅いと充電所で渋滞が発生するリスクがあり、充電が必要な時に待たなければならないとなると、EVの購入を考慮中の消費者が思いとどまる可能性がある。
EVのさらなる成長は、11月5日の大統領選後に次期政権が現在の購入優遇措置を継続するかどうかなど、さまざまな要因によって左右される。こうした政府の優遇措置は、EVが内燃エンジン車に対してどの程度の競争力を維持できるかを決定する上で重要だ。民主党候補のハリス副大統領が当選すればEV優遇策を継続すると予想されているが、共和党候補のトランプ前大統領は「政権に返り咲いた場合、連邦政府のEV支援を削減する可能性がある」と公言している。
また、公共充電所の設置範囲と密度も重要になる。バイデン政権が開始した国家EVインフラ(NEVI)プログラムは、充電施設拡大の推進力であり、戦略的に配置されたEV充電器ネットワークを展開するために各州に公的資金を提供している。しかし、適切な場所の特定や建設の難しさ、地域の電力系統との接続ペースの遅さなど、多様な要因によって充電施設の展開ペースは予想をはるかに下回っている。
さらに、主要な機器や資格のある技術者、設置チームの不足も整備の遅れにつながっている。
◇EV販売の多い州に集中
全米に17万6032基ある公共EV充電器のうち、11万2000基弱は設置数の多い10州に集中している。このうちカリフォルニア(4万9433基)、ニューヨーク(1万1114基)、フロリダ(9763基)、テキサス(8637基)、ワシントン(5817基)、コロラド(5432基)、ジョージア(4994基)の7州はEV登録台数の上位10州にも入っている。残り3州はマサチューセッツ、メリーランド、バージニア。
充電所の数が最も急増しているのはコネチカット、ルイジアナ、デラウェア、インディアナで、前年比40%以上の伸びを記録。ほかの38州でも20%以上増えた。
AFDCによると、24年9月時点の充電器の数は、32の州と地区が1000基以上、13州が500~999基で、ウェストバージニア、モンタナ、ワイオミング、サウスダコタ、ノースダコタ、アラスカは500カ所未満となっている。今後もEVの販売と充電施設の伸びの大部分は、EVの普及が最も進んでいる州で発生するとみられるが、この1年で各州のEV登録台数が大きく伸びたことは、EV所有への関心が従来の拠点以外へも広がっていることを示す。この勢いを維持するには、田舎を含めた全米でより密な充電網が必要になる。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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