企業における人材資源(HR)管理の役割りが近年に大きく変化しており、2025年にはそれがさらに加速すると見込まれる。
ファスト・カンパニー誌によると、そのおもな根拠としては、新型コロナウイルス・パンデミックにともなう働き方の激変や、「多様性、公平性、包摂性(Diversity, equity, and inclusion=DEI)」の取り組み強化が挙げられる、とHRコンサルティング会社CMSコンサルタンツ(CMS Consultants)の設立者兼CEOのシェリル・スワーナウ氏は、同誌への寄稿記事で指摘した。同氏によると、HR管理は2025年にさらに進化し、特に下記5つが顕著な動向として予想される。
1.裏方から経営の担い手に
HR管理はかつて補助的な機能とみなされていたが、企業にとって戦略的機能ととらえられるようになっている。PwC(PricewaterhouseCoopers)の調査では、CEOらの55%以上が、重要な戦略的決定をくだす際にHR部の責任者を関与させていることが報告された。
HRは、人材採用や従業員研修、福利厚生を管理するだけでなく、会社組織の文化を醸成して、従業員らの積極性を引き出すことで、業績向上に寄与することが期待される部署に進化している。
2.部署横断的な取り組みへ
一方で、文化の醸成がHRだけで達成できるわけではないことも認識されるようになっている。先見の明がある会社では、そのことを理解して、従業員らの貢献意欲や帰属感の向上といった複雑な課題に全部署横断的な体制で取り組むようになっていくとみられる。
3.従業員の職能開発が重要に
従業員研修の目的は、既存の手順や規程の遵守を徹底するというこれまでの位置づけから、複雑な職場環境で能力を発揮できる人材を育てることへと変化している。技術の進歩にともなって従業員らに求められる職能も変化していることから、既存の知識を更新または拡張する「アップスキル」や新しい職能を開発する「リスキル」の重要性が高まっていく。
4.HR技術に投資しない会社は競争力が低下
高度のHR管理技術に投資しない会社は、競争力の維持において困難を来たすようになる、とスワーナウ氏は予想する。たとえば、人工知能を活用した報酬水準評価ツールは、労働市場での競争力を維持するうえで重要性が高い。HR管理のプラットフォームを導入して一部の業務を自動化することで、HR担当者がより戦略的な高価値の業務に時間を割けるようになる。
5.HR管理が業績改善に寄与
会社によっては事業運営費の70%を人件費が占めることもある。そのため、人材の入れ替わりが激しい会社では、解雇と採用にともなう見えにくいコストが発生する。したがって、HR管理には、従業員を定着させることで業績改善に寄与するという役割りもある。利益を拡大する機能としてHRをとらえる考え方は、2025年にかけてさらに顕著になっていくだろう。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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