加州、無公害トラック義務化を断念~排ガス規制が大きく後退

カリフォルニア州は連邦環境保護局(EPA)に提出していたトラック事業者に電動トラックや水素燃料電池トラックの購入を義務付ける認可の要請を取り下げた。

ウォールストリート・ジャーナルによると、州大気資源局(CARB)のランドルフ局長は、トランプ大統領が拒否することを懸念したと話した。トラック業界関係者は「新政権下では排ガス規制強化の流れが大きく後退する」とみている。

◇最大の大気汚染要因

大型トラックは米国の道路における公害の最大要因の一つで、港や運送拠点に近い低所得地域を中心に呼吸器疾患など健康問題の原因にもなっている。トラック業界関係者はクリーンな燃料は支持するが、ゼロエミッション大型トラックは技術やインフラの発達が不十分で、カリフォルニアのような厳しい義務化は現実的でないとみている。

カリフォルニア州は規制強化によって無公害技術の需要を刺激し、ゼロエミッションのトラック輸送に必要なインフラを構築できると考えていた。数年前、2024年モデルから無公害トラックの販売台数拡大を義務づける規制を導入。オレゴン、ワシントン、マサチューセッツ、ニューヨーク、ニュージャージーなどがこれに続き、同様の規制導入を進めている。

◇インフラ不足

今回加州が撤回したのは、同州内のトラック事業者及び州内の港に出入りするトラックの代替燃料車購入義務付け。ゼロエミッション大型トラックの需要創出が狙いだったが、トラック運転手らは業務に幅広く使う準備が整っていないと主張していた。

電動トラックは、値段がディーゼルエンジントラックの約3倍と高価な上に走行距離が限られており、充電のために長時間の待機が必要で、電池が重いため軽い荷物しか運べず、ディーゼルトラックよりも効率が悪い。また、充電器が近くにないトラック運転手も多く、大型トラックのための充電ネットワークは地域でも全米でもまだ存在しない。

一方、水素燃料電池技術は、重量や航続距離の点では電池式より優れているが、コスト対応や開発はリチウムイオン電池技術に比べて何年も遅れている。

◇バイデン政策の徹底見直し

トランプ氏は就任早々、バイデン前大統領が手がけたEV普及政策を廃止した。全米トラックディーラー協会(ATD)のジャクリーン・ゲルブ会長は「新政権は、バイデン政権下でEPAが行なったことをすべて検証し、何が正しいやり方なのか見極めるつもりだ。必要なのは実現可能な規制で、前政権が示した道筋は実現可能ではない」と語った。

カリフォルニアの規制当局は、今後、ディーゼルエンジンに新たな排出規制を課す規則や、倉庫業者にトラック輸送などによる汚染の軽減を義務付ける規則などを検討していく。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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