最近の新車には、すでに普及しているタッチスクリーン、運転支援システム、コンパニオンアプリ(携帯端末と車を連携させるアプリ)のほかにもさまざまな新機能が追加されており、赤外線暗視装置、季節に応じたアンビエント照明(車内を演出する間接照明)、後部座席の様子を正面のディスプレイに映す「ファムカム」などを搭載した車もあるが、全てがドライバーに喜ばれている訳ではない。
◇便利なようで不便
ウォールストリート・ジャーナルによると、市場調査ストラテジック・ビジョンが新車購入者を対象に行った調査では、車の操作の直感性に肯定的な意見を持つ人の割合が2015年の79%から24年には56%に減少している。
ダッシュボードのディスプレイ、スクリーン・インターフェイス、計器盤のレイアウトに対するドライバーの認識にも同様の傾向が見られ、ストラテジック・ビジョンのアレクサンダー・エドワーズ社長は「ドライバーは全体的には車のテクノロジーに満足しているが、アイフォーンと同等に使いやすくなることを望んでいる」と指摘する。
便利な機能が裏目に出ることもある。カナダ・モントリオール在住のエンジニア男性(36)の場合、1月に電話アプリを使ってフォルクスワーゲン(VW)の電気自動車(EV)「ID.4」(2024年型)の充電を家の中から遠隔操作で始めようとしたができなかった。このため、すぐに屋内に戻るつもりで夜だったが短パンにビーチサンダルという格好で気温15度の屋外に飛び出した。ところがセンサー付きドアハンドルが凍りついて機能せず、ドアが開かなかったためトランクから乗り込む羽目になり、今では「普通のドアでいい」と話している。
JDパワーによると、24年にEV所有者がドアハンドルは使いにくいと感じた問題の発生割合は100台当たり3.1件で、20年の0.2件から大きく増えている。
◇タッチスクリーンは危険?
タッチスクリーンにもさまざまな意見があり、煩わしいだけでなく潜在的に危険だと考える人がいる。設定の変更では何度も画面をタップする必要があり、ノブをひねったりボタンを押したりする従来方式のような手応えがないため画面を見続けなければならず、道路から目が離れることになる。ボタンに似ているが、触るだけで操作する静電容量式スイッチも同様だ。
コンサルティング会社エスカレントの22年の調査によると、新車購入者の約28%がタッチスクリーンよりもボタンを好むと答えた。
一部の自動車メーカーは、新モデルでボタンとノブを復活させており、欧州の自主的な自動車安全性能評価制度ユーロNCAPでは、26年からワイパーやハザードランプなどの主要な操作をタッチスクリーンではなく物理的な方法で提供する車の方が安全とみなされるようになる。
オートパシフィックが24年、新車購入者を対象に行った調査によると、ドライバーが最も喜んでいるハイテク機能は、携帯電話の無線充電パッド、ヒーター付きベンチレーションシート、雨センサー付きワイパー、内蔵掃除機などだった。
助手席側のスクリーンやフロントガラスに表示される拡張現実は希望する最新技術の最下位で、JDパワーによると、空中でノブを回す動作をして音量を上げるといったジェスチャー・コントロールはドライバーを失望させている。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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