大企業、M&Aにはまだ消極的〜景況感と連動せず
- 2013年5月2日
- 米国ビジネス
国際経済はかなり改善しているものの、 買収・合併(M&A)に関してはまだ消極的な企業が多いことが、会計大手アーンスト&ヤング(E&Y)の調査で分かった。
AP通信によると、E&Y調査は50カ国の大手企業上席幹部1600人を対象に半年ごとに行われ、4月の調査では、今はまだ経済見通しの改善が投資や企業買収にはつながっていないという状況が浮かび上がった。調査企業の85%は年間売り上げが5億ドルを超える。
通常、景況感が改善すればM&Aの意欲も高まるものだが、回答者の51%は「国際経済は改善している」と考え、2012年10月の前回調査から2倍以上増加したにもかかわらず、「今後1年にM&Aを計画している」という企業はわずか29%にとどまった。「十分な資金があった場合、どんな形でビジネスを拡張するか」という質問には、45%が「他社を買収する前に社内に投資する」と答えた。
E&Yのピップ・マクロスティ国際取引責任者は「現状は景況感とは逆と言える。過去数年間、世界のM&A件数は歴史的な指標から外れ、企業幹部はM&Aに取り組む前に景気の回復を待ち続けている」と指摘した。
最近では、スイスの商品取引大手グレンコアと同資源大手エクストラータの合併や、米携帯電話スプリント・ネクステルに対する衛星放送大手ディッシュ・ネットワークの255億ドルの買収提示など、いくつかの大きな動きも見られるが、M&Aの契約件数や取引額はまだ07〜08年の経済危機以前の水準には戻っていない。
ただ、地域によっては明るさもうかがえる。ブラジルでは45%の企業が「今後1年間にM&Aを実施する計画」と答えた。これに対して米国は29%、英国は27%、ロシアは12%だった。
最大の投資先は依然として中国で、インド、ブラジルと続き、米国とカナダもトップ5に入った。
業界別では、テクノロジー、自動車、生命科学、消費者用品、石油・ガスといった分野の動きが最も活発で、最も少ないのは鉱業や電気だった。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開
-
ビットコイン半減は価格にいかに影響するのか 〜 最高値更新から乱高下、次の半減期が目前に
-
2024年4月22日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ボルティモアの橋崩落、輸出・小売業者に影響
-
米国のMBA課程、人工知能分野の教育を積極化 〜 会社で求められる技能に学生側も関心を強める
-
2024年4月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
テスラ、急速充電網を開放~EV普及の節目となるか
-
2024年4月15日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EV生産コスト、27年にはガソリン車より安く~ガートナーが予想
-
人間の労働力の方が人工知能より安価 〜 MITの研究、雇用機会の大部分は人工知能にまだ奪われないと結論
-
ドローン配送に現実味~運用範囲広がる