ベタープレイス、事業を清算〜EV電池交換網の構築を断念

 イスラエルなどで電気自動車(EV)用の充電網整備を進めていたベタープレイス(Better Place)が27日、事業を清算する方針を発表した。

 ニューヨーク・タイムズによると、同社は独ソフト会社SAPの最高経営責任者(CEO)を務めた経験もあるイスラエル人起業家シャイ・アガシ氏が、07年にカリフォルニアで設立した企業。EVの電池切れ問題に対応するため、切れたバッテリーを充電済みのバッテリーと素早く交換できる施設を作るのが事業内容で、イスラエル国内に充電網を整備することで10年までには10万台のEVが同国内を走るようになると予想していた。

 ダン・コーエン最高経営責任者(CEO)は声明で、「資金繰りが難しく、事業の清算を届けるほか選択肢がなくなった。社員、顧客、債権者の損害を最小限にとどめる最善の方法を考えるため、暫定管財人の指定を要請する」と述べた。

 ペタープレイスは、EVメーカーと部品会社(サプライヤー)が協力して共通のインフラ基準を構築するという取り組みから生まれた新種の事業で、EV購入者は月に約350ドルで同社所有のバッテリー、バッテリー交換所、充電所などが使えるという仕組みだった。EVは充電1回で約100マイル走行でき、イスラエルは国が小さくガソリン価格が高いため、同社にとっては理想的な実用実験場と考えられた。

 しかし、EVメーカーで同社の事業に参加したのは仏ルノーだけで、消費者の選択肢は限定された。これまでに同社がイスラエルに建設した電池交換所は約36カ所。同国内のEVの数はまだ1000台に満たない。ベタープレイスの本社は加州からイスラエルに移転しており、アガシ氏は昨年、事業不振の責任を取る形でCEOを辞任した。

 コーエンCEOは「計画や方式は正しかったが、市場の拡大ペースが予想通りに行かなかった。多額の資金投入がなければ業務継続は不可能」と語った。同社はこれまでに約8億5000万ドルの民間投資を受けているが、最大株主のイスラエル・コーポレーションが追加出資を拒否したため、清算を余儀なくされた。

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