水需要、供給を40%上回る〜2030年、研究団体が予測
- 2013年5月28日
- 米国ビジネス
恒常的な干ばつと使いすぎで世界の水の貯蔵量が減り、2030年までには需要が供給を40%も上回る可能性があるという予測を、国際企業・団体でつくる資源問題研究団体2030ウォーター・リソース・グループが発表した。水のコストが上がることでエネルギー業界にも大きな影響があると指摘している。
クリスチャン・サイエンス・モニターが伝えたところによると、すでに水不足が深刻化する地域では、節水と同時に水利用の順位付けなどを検討し始めており、地域の水に価格をつけて販売する取引所の設立は多くの支持を得ている。同グループには、国際金融公社(IFC、世銀の一機関)やコンサルティング大手マッキンゼー、コカ・コーラ、ネスレ、SABミラーなどが加盟する。
水需要の変化がエネルギー業界に与える影響は甚大だ。燃料の生産、特に採掘には大量の水が必要で、フラッキング(水圧破砕法)による天然ガス採取の場合、100万btu(英熱量単位)当たり約1ガロンの水を使う。化石燃料を使った発電でも、石炭火力発電所は1キロワット時(kWh)当たり1ガロン、原子力発電の場合はさらに大量の水を必要とする。
水の消費量が最も多いのは農業で、真水の約70%を使っている。個人利用は全体の10%に満たず、残りは産業、その大半がエネルギー関連で約23%を占める(米国では40%)。この状態で節水効果を全体的に高めるには、エネルギーと産業用(関連する農業含む)の水料金を引き上げるのが政治的に最も実現しやすいと考えられる。
水の料金は昔から非常に安く、エネルギー業界にとってはたとえコストが倍増しても大した額ではないが、供給が断たれた場合のコストは非常に大きいため、将来は価格が大幅に上昇する可能性がある。水の価格上昇はエネルギー価格の上昇につながるが、エネルギー供給を確保するためにはやむを得ない。
長期的には、水の使用量が少ない発電の価値が上がる。石炭や原子力よりは風力、ソーラー、在来型天然ガスを使った発電の優位性が高まるとみられる。
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