タイヤのレンタル需要が激増〜価格上昇と暮らし向き悪化で

 タイヤの価格高騰などを背景に、車のタイヤのレンタル業が大繁盛している。

 ロサンゼルス・タイムズによると、タイヤ・レンタルは所得が低くほかからローンを受けられない消費者らを相手にするサービスだが、料金は決して安くなく、小売価格の4倍になることもある。また、支払いが滞るとタイヤはすぐに回収され、個人破産しても逃れられないほど料金の取り立ては厳しい。

 ノースカロライナ州のフロレンス・チェリーさんは昨年9月、所有するミニバンのタイヤがすり減ったが新品を買う金がなかったため、チェーン店のRent-N-Roll(本社・フロリダ州)から月54.60ドルで18カ月レンタルする契約にサインした。料金は合計で982ドルに上り、ウォルマートで購入した場合のほぼ3倍だが、「すごく高いと分かっていてもほかに選択肢はないのよ」と話している。

 業界誌モダン・タイヤ・ディーラーによると、天然ゴムや石油の高騰を受け、乗用車用タイヤの平均価格は2006年から12年までに57%も上昇し、人気サイズだと倍増を超えた例もある。一方、消費者の生活はより厳しくなっており、世帯所得の中間値は09年以降5%以上低下、信用歴が悪くクレジットカードを取得できない世帯は5年前の27%から35%に増えている。

 タイヤ・レンタル業者は、信用審査がなく頭金は少額で、理由を聞かずいつでも返品を受け付けることなどを目玉に客を集めており、チェーン大手Rent-a-Centerは07年以降、利用者が67%増えて現在は480万人に達している。

 85億ドル規模の購入選択権付きレンタル市場でタイヤの占める割合はほんのわずかだが、「タイヤは返してしまうと仕事に行けなくなる必需品で、台所家具などのレンタルとは意味が違う」と考えられている。1990年代半ばに初めてタイヤやホイールのレンタル業者が登場したころは、各店がラッパーなどを起用して都市部の若い男性にカスタム・リムや扁平タイヤを売り込んでいたが、リセッション後は標準タイヤを求める年長者や女性の客が増えている。

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