シェール革命、条件次第で外国でも可能

 米国のエネルギー業界を活性化させているシェール革命は、ほかの国でも起こすことが可能という調査結果を、米エネルギー情報局(EIA)が発表した。

 クリスチャン・サイエンス・モニターによると、41カ国を対象に行った調査の結果、世界のシェール(けつ岩層)に含まれる技術的に採取可能な石油の量は過去2年間で10倍に増え、天然ガスの量は10%増えたことが分かった。エネルギー地質学の進歩で、シェールの確認数は過去2年間に倍増しており、各国とも今後数年かけて米国やカナダのようにシェール層からの資源採取を試みるとみられている。

 EIA報告書によると、技術的に採取可能なシェール・ガスの埋蔵量は、世界の天然ガス埋蔵量のほぼ3分の1、シェール・オイルは世界埋蔵量の10%を占める。シェール・ガス埋蔵量が最も多いのは中国で、1115兆立方フィートに上る。シェール・オイルは、750億バレルのロシアがトップで、中国は320億バレルで3位。またアルゼンチンには270億バレルのシェール・オイルと802兆立法フィートのシェール・ガスがある。

 しかし、シェール層からの資源採取は普通の油田などより複雑でコストもかかり、価格は予想不可能な国際市場の動き次第となるため、エネルギー企業は採算性を慎重に検討しなければならない。

 また、今後は北米の天然ガス輸出量が劇的に増えて世界市場をより複雑にする可能性もある。米国では今年5月に2つ目の液化天然ガス輸出ターミナルが認可され、今後も増えると予想されており、カナダもシェール・ガス資源の活用に関心を持っている。

 一方で、環境面で障害が生じる可能性もある。シェールからの資源採取に必要なフラッキング(水圧破砕)技術は、環境に悪影響を及ぼすとの懸念からフランスでは禁止されているほか、米国でも地下水汚染やメタンの流出を懸念して禁止を検討する州が出てきている。

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