厚さ1ナノのソーラーセル〜MITが製造技術を開発
- 2013年7月9日
- 米国ビジネス
マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、厚さがわずか1ナノメートル(10億分の1メートル)という世界で最も薄いソーラーセル(太陽電池の基幹部品)の製造技術を開発した。
オイルプライス・コムによると、極薄ソーラーセルは二硫化モリブデンの分子とグラフェンの分子を重ねて作られ、分子2つ分の厚みしかない。太陽光エネルギーを電力に変換する効率は1〜2%と低いが、セルを幾層も重ねれば全体の発電量は普通のセルよりはるかに大きくなり、単位重量当たりの出力が通常の1000倍に上る可能性がある。
現在、ソーラーセルの研究では光電変換効率の改善が最も重視されており、ほとんどのセルは変換効率が15〜20%で、製品の状態で30%というソーラーパネルもある。しかし、MITチームは最も薄く、最も少ない材料でセルを作る技術の開発に取り組んでおり、わずか2つの分子で構成される薄膜を多く重ねることで高効率のソーラーセルを作ることは可能と考えている。
メーカーではアルタ・ディバイシズ(Alta Devices、カリフォルニア州)も1マイクロメートル(100万分の1メートル)という超薄型のソーラーセルを開発しており、光電変換効率は30%に上るが、MITのセルに比べると1000倍も厚く、精製シリコンを使っているためコストも高い。
ただしMITの技術はまだ構想の段階で、さまざまなコンピュータ・モデルでシミュレーションを行っているが、実物は作られていない。また、二硫化モリブデンは今のところ大量生産技術がないため、セルの大量生産もできない。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開
-
ビットコイン半減は価格にいかに影響するのか 〜 最高値更新から乱高下、次の半減期が目前に
-
2024年4月22日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ボルティモアの橋崩落、輸出・小売業者に影響
-
米国のMBA課程、人工知能分野の教育を積極化 〜 会社で求められる技能に学生側も関心を強める
-
2024年4月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
テスラ、急速充電網を開放~EV普及の節目となるか
-
2024年4月15日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EV生産コスト、27年にはガソリン車より安く~ガートナーが予想
-
人間の労働力の方が人工知能より安価 〜 MITの研究、雇用機会の大部分は人工知能にまだ奪われないと結論
-
ドローン配送に現実味~運用範囲広がる