現場実装型ソフトウェアで増収 〜クラウドに逆行して成長する新興企業
- 2013年7月10日
- ハイテク情報
企業によるクラウド電算導入が進み、サース(SaaS=software-as-a-service)が注目されるなか、一部の新興企業は、ソフトウェアのライセンス販売という従来型ソフトウェア事業で急成長を遂げている。
調査会社ガートナーは、2013年におけるパブリック・クラウド・ソフトウェア・サービスの世界売り上げが1310億ドルに達し、2016年には60%増の2100億ドルに拡大すると予想する。
ガートナーでは、2016年におけるソフトウェア全体の売上高が3690億ドルに達するとみており、パブリック・クラウド・ソフトウェア・サービスの売り上げ構成比は今年の43%から2016年には57%に増大する見通しだ。
ただ、クラウド分野の大幅成長に疑う余地はないものの、クラウド以外の領域にもまだ大きな市場が残されている。
インベスターズ・ビジネス・デイリーによると、社内通信網の性能面の障害を発見する現場実装型ソフトウェア開発のスプランク(Splunk)は、直近3四半期の売上高が前年同期比で50%増加した。
また、現場実装型データ解析ソフトウェア提供のタブロー・ソフトウェア(Tableau Software)や、同じく現場実装型セキュリティ・ソフトウェア提供のパロ・アルト・ネットワークス(Palo Alto Networks)でも、同様に増収傾向が続いている。
さらに、現場実装型データ解析ソフトウェア提供のクリック・テクノロジーズ(Qlik Technologies)では、直近2四半期で成長率20%強を記録した。
FBRキャピタル・マーケッツ(FBR Capital Markets)の業界専門家は、特にデータ解析に代表される注目分野では、提供形態がサースまたはライセンス販売にかかわらず、ソフトウェアの性能が重視されると話す。
一方、それらの新興企業はクラウド型のソフトウェア製品も販売している。スプランクでは、クラウド製品「スプランク・ストーム(Splunk Storm)」の顧客数が、第1四半期末時点で200社を超え、前四半期から40%増加した。
ただ、データ・セキュリティの分野では、クラウド・アプリケーションに対する懸念は根強く、それが現場実装型ソフトウェアの需要を支え、その結果、ライセンス販売を押し上げる要因となっている。
ガートナーが1702社を対象に行った2012年の調べでは、57%の企業が機密情報や解析データのクラウド移行に反対と回答し、賛成の意向を示したのはわずか30%だった。
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