日本の太陽光発電に大幅成長の期待 〜2013年に世界2位の可能性も

 日本の太陽光発電市場にかつてない成長が期待されている。2013年上半期はその期待にかなう成長を記録し、その勢いが今後も継続するかどうか注目される。

 グリーンテック・メディアによると、福島原発事故前の日本では、原子力発電が約50ギガワットの電力を賄ってきたが、原発危機を受けて原子炉休止を余儀なくされ、その応急措置として火力発電への依存度が高まった。

 原子炉再稼動に向けた動きが加速するかに見えるなか、当座のところ、ベース・ロード電力の減少分の25%は火力電力で賄われており、燃料輸入増大と電力価格高騰を招いている。

 そのため、代替発電の需要が高まり、日本の太陽光発電市場は2013年第1四半期に1.7ギガワットを記録した。GTMリサーチでは、日本の太陽光発電が今年通年で5.3ギガワット、場合によっては6.1ワットに達する可能性もあると予想する。

 それが現実になれば、日本はイタリアとドイツを追い抜き、中国に次ぐ世界第2位の太陽光発電市場となる。また、日本ではシステム価格が高いため、出荷発電容量でなく出荷電力総額を見れば中国を抜く可能性もある。

 日本では、固定価格買い取り制度の価格が、屋根上の小型パネルの10年制度および大型パネルの20年制度で38セントと、諸外国に比べて高い。

 「公益・商業市場は爆発的に伸びており、住宅市場も比較的安定した成長を示している」とGTMリサーチのスコット・バーガー氏は見ている。

 経済産業省管轄の太陽光発電普及拡大センターが発表した統計データは下記のとおり。

 ▽住宅用設置:2013年第1四半期に356メガワット
 ▽商業設置(10キロワット〜1メガワット):2012年第2四半期から2013年2月に309メガワット
 ▽大規模設置(1メガワット超):2012年第2四半期から2013年2月に110メガワット
 ▽商業申請:2012年第2四半期から2013年2月に4575メガワット
 ▽大規模申請:2012年第2四半期から2013年2月に6436メガワット
 ▽住宅用出荷:2013年第1四半期に562メガワット(前年同期比70%増)
 ▽商業出荷:2013年第1四半期に407メガワット(前年同期比5187%増、前期比89%増)
 ▽大規模出荷:2013年第1四半期に762メガワット(前年同期比1378%増、前期比146%増)
 ▽総出荷:2013年第1四半期に1734メガワット

 GTMのバーガー氏は、申請分について「形式上の手続きであるため、あまり重要な数値ではない」と説明。ただ、日本においては、申請後、開発業者が建設許可を取得し、さらに電力会社の送電網との相互接続許可を得る必要があるため、むしろその部分が今後の成長を予測するカギになる。

 日本の太陽光発電市場への成長期待が大きいことは事実ながらも、「当社の得た情報によると、送電網の過負荷や基幹設備の不足といった理由によって、プロジェクトが縮小されたり却下されたりしている」とバーガー氏は懸念材料も指摘した。

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