年1000億ドルに下方修正〜米国のサイバー犯罪被害額
- 2013年8月13日
- 米国ビジネス
通信スパイやサイバー犯罪によって米国が被っている損害は、従来の推定額より大幅に低い年間1000億ドルとみられるという研究結果が発表された。
ウォールストリート・ジャーナルによると、コンピュータ・セキュリティ大手のマカフィーはこれまで、被害額を1兆ドルと推定していたが、戦略国際問題研究所(CSIS)と合同で行った研究の結果、推定被害額は10分の1に下方修正された。
その主な理由は、サイバー窃盗による利益の移動を考慮したため。マカフィーのトム・ガン副社長は「サイバースパイは(片方が得点すればもう一方が失点する)ゼロサム・ゲームではなく、盗まれた情報が本当になくなるわけではない。例えば中国が米国の知的財産を盗んでも活用できるとは限らず、窃盗の被害額は限定される。同様に、サイバー攻撃で米国の銀行1つが機能不全になっても、顧客は別の銀行を使うかもしれない」と説明した。
1000億ドルという推定被害額を米国で毎年生じる他のコストと比べてみると、2010年の自動車事故による被害額(990億〜1680億ドル)に近く、大手企業の棚卸減耗費(理論在庫より実際の在庫が少ないことによる損失)とほぼ同等になる。
また、今回の研究は初めて、サイバー犯罪は年間80万8000人の米雇用に影響すると言及した。世界の被害額については年間1000億〜5000億ドルと推定した。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開
-
ビットコイン半減は価格にいかに影響するのか 〜 最高値更新から乱高下、次の半減期が目前に
-
2024年4月22日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ボルティモアの橋崩落、輸出・小売業者に影響
-
米国のMBA課程、人工知能分野の教育を積極化 〜 会社で求められる技能に学生側も関心を強める
-
2024年4月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
テスラ、急速充電網を開放~EV普及の節目となるか
-
2024年4月15日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EV生産コスト、27年にはガソリン車より安く~ガートナーが予想
-
人間の労働力の方が人工知能より安価 〜 MITの研究、雇用機会の大部分は人工知能にまだ奪われないと結論
-
ドローン配送に現実味~運用範囲広がる