畜牛農家の廃業が急増〜干ばつで経費高騰、採算合わず

 米国内で畜牛農家の廃業数がかつてない水準に達している。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、生涯の大半を肉牛飼育に捧げてきたカンザス州のデビッド・ダフ氏は今夏、同州やテキサスなど大平原地帯で3年続く干ばつのあおりを受け、残っていた若い牛を全頭売り払った。畜牛農家の大半は、素牛(もとうし)や餌の価格が食肉業者への売却価格を上回る事態に直面している。2012年の米国人1人当たりの牛肉消費量は、生産量の低下と海外需要の上昇が小売り価格を押し上げた結果、10年前と比べて15%減少した。

 主な餌であるトウモロコシの価格は今年、中西部の穀倉地帯の天候が平年並みとなったことで、記録的高値を付けた前年からは下がったが、飼育場の経営は困難を極めている。

 連邦政府の統計によると、12年に国内に7万7120軒あった畜牛農家の約2000軒が廃業し、廃業数が20軒だった前年から激増した。

 畜牛は、素牛や穀物の価格が不安定なため伝統的にリスクの大きな商売だ。年間売上高350億ドルの業界では、農家が体重約750ポンドの子牛(約1歳)を購入し、トウモロコシを与えながら最長半年間育て、1頭当たり最大1400ポンドに太らせて食肉業者に売却する。

 大平原地帯の牧場が畜牛農家に売る素牛の数は、干ばつの影響で60年ぶりの最低水準に落ち込んでいる。このため、1000頭以上を飼育する畜牛農家の卸売り頭数は、00年の2829万頭から12年には2495万頭まで減少した。

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