アジア系中心に移民が増加〜12年、景気回復裏付け

 2012年はアジア系を中心に移民増加のペースが高まり、景気回復が裏付けられたことが、国勢調査局のアメリカン・コミュニティ調査で分かった。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、移民人口は12年に約44万7000人増加し、前年の増加数42万2000人を上回った。景気後退(リセッション)が丸1年続いた08年は約3万2000人減少していた。

 昨年の増加には、アジア系移民が大幅に増えたことが大きく影響した。ブルッキングズ研究所の人口統計学者ウィリアム・フライ氏による国勢調査局データの分析では、アジア系は11年の20万7000人増から、12年は30万9000人を超える増加へと勢いが増した。このうちインド生まれは前年の7万6000人増から11万1000人増となり、中国生まれは12年に6万1000人増加した。

 一方、ヒスパニック(中南米系)移民の増加数は4万7000人と比較的少なく、メキシコ生まれは減少した。過去数年間は住宅市場をはじめ広い分野で経済が低迷していたため、ヒスパニック労働者が多い建設業界などで雇用が激減し、国境警備も強化されたため、不法移民が減少した。

 米国では、07〜09年のリセッション以前は20年にわたり平均して毎年約100万人ずつ移民が増えていたが、このリセッションでペースが崩れた。12年の増加は、歴史的な水準から見ればまだ小幅とはいえ状況が改善され、リセッションの影響が払拭され始めたと考えられる。

 移民が増えると、米経済を支える労働要員が増え、高齢者福祉などを賄う税収の増加にもつながる。また、労働者が頻繁に職を変えたり州外、国外に移動したりして労働市場の流動性が高まれば、労働の需給が効率良くかみ合うようになり、経済成長が促される。

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