急激な生産増強にリスク〜利益損ねる恐れも

 米自動車業界が需要の上昇に沸く中で、急激な生産増強によって後に利益が奪われる恐れが出てきた。

 オートモーティブ・ニューズによると、北米メーカーが急ピッチで進めている増産体制の構築は「価格の天敵」となりかねない。

 モーガン・スタンレーの調査によると、メーカーは11年から15年までの間、25%増の1795万台まで生産能力を押し上げる見通しだ。増加分は「約15工場」、1950年代以来で最速ペースとなる伸び率となる。

 しかし、新工場による押し上げ分は約半分にとどまっており、残りは既存工場でのシフトの増強などで賄われている。増強分はデトロイトのティア2労働者やメキシコ工場が中心であるため、コストは比較的安い。

 自動車業界のアナリストは、「世界で最も循環的な業界にあって、あまりに多くのメーカーが少ない消費者の獲得をめぐって争っている」と指摘している。

 IHSオートモーティブも、業界はより緩やかな成長に備えるべきだと述べる。北米生産は今年、リセッションに見舞われた09年の860万台から1620万台まで回復する見通しだが、18年にはより低率の伸びとなる1800万台にとどまるという。

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