高級カメラも衰退か〜スマホ普及で出荷数が減少

 カメラ付きスマートフォンの普及で、低価格の小型デジカメだけでなく高性能カメラやレンズの販売にも陰りが見え始めた。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、レンズ交換ができる高級カメラはほとんどが大ぶりのデジタル1眼レフ(DSLR)で、プロのカメラマンや写真愛好家などに使われている。販売は長年堅調に伸びていたが、最近になって突然落ち込み始め、ハイテク調査のIDCはこのほど、2013年の出荷台数は前年(1910万台)比9.1%減の1740万台との予想を発表した。

 高級カメラ大手のキヤノンとニコンは、この数週間に相次いで14年3月期の販売予想を下方修正している。レンズ大手タムロンも、業界の先行指標となる交換レンズ販売数が13年1〜9月は前年同期比で22%も減っており、年間業績予想を下方修正した。

 3社とも、国際経済の低迷や在庫増の影響を指摘しているが、落ち込みの明確な原因は不明。ニコンの伊藤純一最高財務責任者(CFO)は「厳しい数字が出ているが、この状態がずっと続くとは思っていない。まだ需要の可能性は残っており、中国がカギになると思う」と話した。

 一方で、消費者の好みが変化した可能性もある。香港在住のアーティストでグラフィック・デザイナーのリー・フュン氏(44)は、5年前にキヤノンのDSLRを買ったものの、最近はめったに使わず、ほとんどの撮影で「アイフォン」を使っている。さまざまな写真編集アプリケーションがあるため画像処理機能にも満足しているといい、編集済みの写真は同スマホからじかに画像共有アプリ「インスタグラム」に掲示し、約1600人の読者に見せている。

 「いろんなアプリで写真の感じを調整するのが楽しい」と話すフュン氏は、キヤノンの次のカメラを買うつもりはないという。

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