トヨタも豪州生産中止を検討〜首相は引き止めに懸命

 自動車メーカーの撤退が続くオーストラリアで、最後に残ったトヨタ自動車もアルトナ工場での生産を続けるかどうか検討していることを明らかにした。同社の通告を受けて、トニー・アボット首相が現地責任者と電話で話すなど、引き止めに懸命となっている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、豪州にはかつて多くの自動車メーカーが工場を置いていたが、コスト高を受けて撤退が続き、12月にはゼネラル・モーターズ(GM)が「2017年に2工場を閉鎖し、豪州での生産を全面的に停止する」と発表したため、残るはトヨタだけになった。

 しかしそのトヨタも、「部品業者(サプライヤー)や主な利害関係者、政府と話し合って、次のステップや豪州唯一の自動車メーカーとして業務を続けられるかどうかを決める」との声明を発表した。

 トヨタは豪州生産車の70%を輸出しており、これまでは人員削減や政府支援などでオーストラリアドル高の打撃を吸収してきたが、GMが撤退すれば市場が半減してサプライヤーが生き残れず、ドミノ効果で部品や人件費などすべてのコストが上がり、乗用車「カムリ」や「オーリオン」の生産利益が低下することを恐れている。

 トヨタの豪州部門は、5年間のコスト削減効果などで13年3月期は2億2090万オーストラリアドルの利益を出した。しかし、地元消費者の好みはカムリのような中型乗用車から輸入物のスポーツ多目的車(SUV)に移りつつあり、最も売れている小型乗用車「カローラ」は国外で生産しているため、豪州事業は大きな試練に直面している。

 アボット首相は同日、「トヨタにはビジネスを続けてほしい」と現地責任者に電話で話したこと、数日以内にGMの豪州子会社ホールデンの労働者やトヨタを支援する一括対策を発表することを明らかにした。公的資金は、GMの撤退までに研究・開発、教育、特殊製造業にも投じられる予定。首相は「業界の基本的な力を高めるのが今のわれわれの仕事」と話している。

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