米国産の天然ガスに買い手殺到 〜 日中や欧州、輸出認可取得前から確保
- 2014年2月3日
- 環境ビジネス
天然ガスの米国内産出量の増加を受けて、輸出用の液化天然ガス(LNG)生産工場の建設計画が相次いでおり、すでに多くの外国関係者が事業参画している。いずれも米政府の輸出認可が将来下りることを見込んだ水面下の動きだ。
ロイター通信が関係者の話として伝えたところによると、センプラ・エネルギーが建設を予定するルイジアナ州のキャメロンLNG工場とテキサス州のフリーポートLNG工場では、中国と日本、台湾、スペイン、フランス、チリの企業が12件の長期大口契約に合意している。
両工場は2020年までの稼働を目指している。キャメロン工場は、米国との自由貿易協定(FTA)を締結していない国への輸出許可と建設許可と待っている状況。フリーポート工場では、輸出許可は下りたものの建設は始まっていない。
その一方で、石油化学業界といった米国内の大口消費者は、輸出増による価格上昇を心配しており、オバマ政権は輸出許可を事例ごとに判断している。これまで輸出が許可されたLNG工場建設計画は4件で、建設が進められているのはわずか1件にすぎない。
LNG輸出事業では、買い手を早い時期に確保することが成功の決め手となる。買い手がなければ資金が集まらず、施設の建設が進まないからだ。
キャメロンLNG事業では、2013年に資本参加し年間400万トン(mtpa=million tons per annum=年間100万トン)の輸出権を得た仏資源大手GDFスエズが、日本と台湾、中国、チリの企業から購入合意を取り付けている。
そのほか、同様に輸出権を持つ三菱商事と三井物産には、スペインのレプソルや仏トタル、日本の電力会社といった買い手がある。
関係者によると、日本の買い手は日本国内の原発に関する見通しが不透明なため、大規模の購入契約には二の足を踏んでいるという。
センプラは、キャメロン工場の建設に関する最終投資決定を年内に下したい意向。決定すれば、GDFスエズと三井、三菱の取り付けた契約が自動的に正式販売契約となる。センプラは米エネルギー省からの輸出許可が2014年4月までに下りると予想する。
一方、フリーポートでは英BPが中国海洋石油総公司(CNOOC)との契約を交渉中のほか、東京電力への供給も0.5mtpa(年間50万トン)拡大する見通し。両事業の輸出契約は合わせて12mtpaを超え、1日分に換算すると15億立方フィート、米国の日産量(700億立方フィート)の約2%に相当する。
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