フラッキングのディーゼル使用で指針、EPA

 環境保護局(EPA)はこのほど、「フラッキング」(水圧破砕法)によって掘削を行う場合のディーゼル燃料使用に関する指針を発表した。

 フラッキングは、シェール(けつ岩層)の資源採掘などに用いられる新しい掘削技術だが、化学物質やディーゼル燃料を水と一緒に高圧で地下に注入するため、地下水の汚染などが懸念されている。

 ロサンゼルス・タイムズによると、EPAはフラッキングで使われる化学液を規制する権限はほとんどないが、ディーゼル燃料に関しては2005年から権限が認められている。その権限を当局が今回初めて行使した。

 ディーゼル燃料を使う企業は州または連邦から認可を得る必要があるが、これまではディーゼル燃料自体が明確に定義されていなかった。EPAは今回、認可が必要なディーゼル燃料として5つの物質を規定した。EPAは同時に、フラッキングの許可を審査する政府機関に対し、坑井の構造に関する詳しい情報を入手し、掘削でディーゼル燃料を使う前に追加検査を要求することなども勧告した。ただしいずれの指針にも強制力はない。

 しかし、フラッキングにディーゼル燃料を使っている施設は国内でわずか2%にすぎず、EPAの規制を受けないディーゼル燃料も多いため、今回のEPA決定が業界に与える影響は軽微とみられる。それでも環境保護活動家はこの動きを歓迎しており、エンバイロンメンタル・アメリカの水浄化運動責任者は「ディーゼル燃料が有害な発がん物質であることは分かっており、フラッキングに使われれば地下水が汚染される恐れがある」と話した。

 石油およびガス会社はフラッキングでのディーゼル使用を長年否定していたが、11年に下院の民主党議員団が「05〜09年に14社がシェールのフラッキングで3200万ガロンのディーゼル燃料を使用した」という報告書を公表した。

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