「マース」型モデルに成長期待 〜 第三者保有の電力供給市場に新潮流
- 2014年2月17日
- 環境ビジネス
第三者の投資家が保有するマイクログリッドの事業モデルが、今後成長すると予想される。
クリーンテクニカ誌によると、ラックス・リサーチ(Lux Research)のディーン・フランケル氏はこのほど、「マース(MaaS=Microgrid-as-a-Service)」という事業モデルがマイクログリッド市場の成長において欠かせない役割を果たすという予想を示した。
マイクログリッドは、今のところ、顧客による自家保有形式でそのほとんどが建設されている。電力供給の安全性と信頼性を向上させられるだけでなく、従来の送電網によるサービス提供が難しい場所にも電力を送れるといった利点がある。
フランケル氏の報告書では、太陽光発電を使ったマイクログリッドで利益を出しているインドのメラ・ガオ・パワー(Mera Gao Power)の例を紹介している。同社のマイクログリッドは、1基につき25〜30組の顧客を有し、それらの顧客は利用した分に応じてサービス料を支払っている。
そういった従量課金制のマイクログリッド・サービスでは、先ごろインパクト・エナジーズ(Impact Energies)がパーシスタント・エネルギー・パートナーズ(Persistent Energy Partners)に買収された。
フランケル氏によると、米国では、太陽光発電と蓄電池または予備電源システムを組み合わせたマイクログリッドが勢力を拡大しつつある。たとえば、NRGが、ガスを燃料とする発電機と太陽光発電システムの組み合わせを開発しており、またソーラーシティ(SolarCity)は1時間分の蓄電能力を持つリチウムイオン電池を使用している。
マイクログリッドの経済性は、電力とガスの価格によって影響を受ける。電力価格が1キロワット時あたり1セント上昇すれば、2%の内部利益率の上昇につながる。
ガス価格は大きく変動する可能性があるが、100万BTUあたり4ドルから6ドルに50%上昇すれば、マイクログリッドの経済的利点がなくなる可能性がある。
公益会社のなかには、住宅市場向けのマースに出資している企業もある。サンヴァージ・エネルギー(Sunverge Energy)とサクラメント市公益局の提携関係がその好例だ。
自家保有のマイクログリッドとマースは、同等の投資利益率を出す。しかし、自家保有形式では保有者がすべてのリスクを負うのに対し、マースでは公益会社や第三者の投資家が電力サービスを多角化しながら、戦略的に顧客を開拓する機会をもたらす。
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