電力業界の明暗分ける変革の波 〜 ソーラーシティやオーパワーが勝ち組に
- 2014年3月9日
- 環境ビジネス
個人住宅用のソーラー・パネルや蓄電装置が米国の電力業界に変革の大波を巻き起こすと指摘される。
ギガOM誌によると、ロッキー・マウンテン・インスティテュート(Rocky Mountain Institute)は最近発表した報告書で、2030年までに米個人世帯の多くがソーラー・パネルと蓄電装置を導入する結果、電力会社の顧客数と売上高が激減すると予測した。
この種の変化は、スカイプをはじめとするインターネット電話サービスが電話サービス業界に巻き起こした変化に匹敵する。電話業界ではその変革期に勝ち組と負け組が生まれた。電力業界でも勝者と敗者の明暗が分かれると予想される。
リース契約を通じたソーラー・パネルの設置を手がけるソーラーシティ(SolarCity)は、革新的な事業モデルで成功してきた新興企業の好例だ。同社は2013年に280メガワット分の太陽発電システムを設置し、前年比78%増を記録した。そのうち73%は個人住宅向けだった。2014年には475〜525メガワットの設置を見込んでおり、それが実現すれば2006年の設立以来の設置規模が1ギガワットに達する。
ソーラーシティのイーロン・マスク会長は、やはり会長を務めるテスラ・モーターズの事業として2020年までに安価な電池開発を目指している。ソーラー・パネルと電池が組み合わされば、一般の住宅所有者にとってきわめて魅力的な電力供給の選択肢となり、電力会社の経営モデルに大きく影響する可能性がある。
一方で、電力会社の事業を支援するツールも、今後のさらなる成長が期待される分野だ。エネルギー管理ソフトウェアを手がけるオーパワー(Opower)は、その代表格と見なされている。
オーパワーは、すでに100社近い公益会社を顧客に付け、先ごろ発表した次世代のソフトウェアでは、顧客関係管理から需要反応(応答)まで幅広い事業を視野に入れる姿勢を打ち出した。
電力会社と対抗する側、電力会社を支援する側、そのいずれにも大きな商機があることは間違いとみられる。
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