モバイル決済でソーラー・パネルを流通 〜 新興企業がケニア農村部に革新

 ケニアで太陽電池システムを販売する新興企業エムコパ(M-KOPA)は、ブルームバーグの開催したエネルギー業界の会議で「エネルギー業界の新しい開拓者」として表彰された。

 ギガOM誌によると、エムコパは、ケニアで普及しているモバイル決済システムを利用して、太陽光発電システムの流通販売を手がけている。活動地域は主にケニアとウガンダの非都市部で、送電網の届かない地域だ。

 共同設立者のジェシー・ムーア氏は、ケニア農村部の多くの家庭で使われている石油ランプが同社の競争相手だと話す。石油ランプの燃料のケロシンは、安全性が低く、有害な臭気を発するうえ、価格も比較的高い。しかし、同社の方式を利用すれば、1日あたり約40シリング(約46セント)で自宅にソーラー・パネルを設置して、携帯電話から料金を支払える。

 ムーア氏は、もう一人の共同設立者ニック・ヒューズ氏とともにエムコパを設立するために、4年前にナイロビに移住した。ヒューズ氏は、ボーダフォンが開発し、ナイロビにある電話会社のサファリコム(Safaricom)が一部出資するモバイル決済システムの会社エムペサ(M-PESA)に初期から参画しており、ムーア氏も一時、イギリスのエムペサで働いたことがあった。

 その間にヒューズ氏が新事業設立案についてムーア氏に打診した。エムペサを決済システムとして利用して、銀行口座を持っていない農村部の人口にも信用を提供できるようにするという案だった。

 エムペサは、世界最大のモバイル決済システムの一つで、ケニアでは成人の95%が使用しており、ケニアのGDPの3分の1がその決済システムを流れると見積もられている。

 しかし、ケニアの農村部にそういった電子決済システムを提供するには、安定した電力供給がまず必要だ。そこで、ソーラー・パネルを販売することとなった。

 エムコパが販売しているソーラー・パネルやコントロール・システム、LEDライト、ラジオは、提携企業のディーライト(d.light)が提供している。ディーライトの家庭用ソーラー・システムは、4ワットのパネルを使用、価格は約200ドル。購入顧客は、小額の頭金で購入して、通常は1年にわたる毎日のマイクロ決済で返済していく。

 長期的にはソーラー・システムのほうが石油ランプよりも安い。ケニアの農村部のすべての家庭がソーラー・パネルに切り替えたならば、数百万人という人々の生活と生計が向上する、とムーア氏は説明している。

 エムコパは過去1年半で6万5000台のシステムを販売した。1週につき1000台、1ヵ月では5000台のペースだ。同社では1日1000台のペースを目指している。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 2023年2月14日

    愛するアメリカ
    サンフランシスコの町並み 一年中温暖なカリフォルニアだが、冬は雨が降る。以前は1年間でたった...
  2. キルトを縫い合わせたような美しい田園風景が広がるグラン・プレ カナダの東部ノヴァスコシア州に...
  3. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  4. 九州より広いウッド・バッファロー国立公園には、森と湿地がどこまでも続いている ©Parc nati...
  5. 2022年12月9日

    住みたい国
    熊本県八代市の「くまモンポート八代」で 8月の終わりから9月中頃にかけて、私とニナは日本に飛...
  6. 2022年12月7日

    日常の些事
    冬の落ち葉 年齢を重ねると、だんだんと感動が薄くなるとはよくいわれる。ほとんどのことは過去に...
  7. 2022年12月6日

    美酒と器
    酒器の種類 酒器にはさまざまな素材、形のものが存在する。適切な器を選ばないとお酒本来...
  8. 契約上のトラブル 広範囲にわたる法律問題を扱う弊社にはさまざまなお問い合わせがありま...
ページ上部へ戻る