メキシコ産ライムが足りない〜冬の大雨で、飲食店は悲鳴

 メキシコ産ライムが不足し、価格が大幅に高騰して全米のバーやレストランが悲鳴を上げている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、米国で消費されるライムの97%はメキシコ産で、対米輸出量は年約50万トンに上るが、この冬はベラクルス州などの産地が大雨に見舞われて収穫が遅れている。このためライムの卸価格は40ポンド=100ドル超と例年の4倍、過去最高値を付けており、同じ重量だとメキシコ産原油より高くなっている。

 ライムは「マルガリータ」などのカクテルの材料や「コロナ」ビールの添え物に欠かせないだけでなく、魚介のマリネ料理セビチェやワカモレといったメキシコ料理やタイ料理でも広く使われる。

 サンフランシスコのメキシコ料理店チェーン「タコリシャス」では現在、マルガリータに使うライムの半分をレモンで代用して急場をしのいでいるが、それでも1ドルの値上げを余儀なくされている。ミズーリ州のレストラン「ランチョ・グランデ・キャンティーナ」も、今は客が言わない限りマルガリータやビールにライムを付けないようにして消費量を半分に抑えている。

 一方、今を好機と見る企業もあり、蒸留酒大手ビームはライム風味のテキーラ「ホルニートス・ライム・ショット」の宣伝を強化している。

 米国では、ライムを使う食文化を持った移民の増加や国民の好みの変化を受けてライム消費量が1996年以降に倍増し、1人当たり年間約2.6ポンドに上っているが、商業栽培量は減少している。かつて大規模生産が行われていたカリフォルニア州フラートンでは、今も個人で栽培している人がいるため「ライムを1袋持ってきた客にはカクテル1杯25セントで進呈」と宣伝するメキシコ料理店もあるが、持参したのは100人ほどで「大して助かっていない」という。

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