原油輸送の情報伝えよ〜運輸省、 鉄道会社に義務づけ

 ノースダコタ州のバッケン・シェールで採れた原油を輸送する列車の事故多発を受けて、運輸省はこれを「公共に対する差し迫った危険」と判断し、原油を運ぶ鉄道会社は通過するすべての州の緊急対応機関に通告するよう義務づけた。事故が発生した場合、速やかに対応できるようにするため。

 ニューヨーク・タイムズによると、バッケン産の原油を100万ガロン(タンク車約35両分)以上輸送する鉄道は、1週間ごとの貨物列車運行数、通過する郡、具体的な経路などの関連情報を30日以内に各州当局に提供しなければならない。一般的に石油の輸送では100両以上の貨車が使われるが、これまではこうした情報の開示は義務づけられておらず、鉄道会社は求められた時だけ提出していた。

 また運輸省は、バッケン産原油の輸送には古いタンク車を使わず、所有車両の中で最も質の高い貨車を使うよう勧告した。

 7日の発表の1週間前、バージニア州で原油輸送中の貨車が脱線し、3万ガロンがジェイムス川に流出、火災も発生して350人が避難する事故が起きた。

 カナダでも昨年、ケベック州で47人が死亡する爆発事故が発生しており、これを受けてカナダ政府は今年4月、鉄道会社に大爆発を想定した緊急対応計画の提出を義務づけ、古いタンク車の使用を停止。3年以内により頑丈なタンク車の使用を義務づける措置を取った。新型のタンク車は11年に鉄道業界が設定した最新規格に従って作られるが、米加間の交通量の多さを考えると結果的に米国内のタンク車の安全水準も上がりそうだ。

 米国では「シェール革命」によって過去5年間に原油の輸送量が急増しているが、国内で鉄道輸送される原油のほとんどは、可燃性が高く、事故が起きた場合に爆発する可能性が高いバッケン産が占めている。鉄道業界は以前から強奪やテロの防止を理由に危険物の運送経路を明示していなかった。

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