ソフト・コスト削減への関心、再浮上 〜 太陽光業界会議で合理化のススメ

 カリフォルニア州アナハイムで5月19〜22日に開かれた太陽光発電関連の業界会議「サンショット・サミット(SunShot Summit)」では、いわゆるソフト・コストをいかに下げるかに関心が集中し、各課程の合理化によるコスト削減の余地が十分にあるという見方が改めて強まった。

 ギガOM誌によると、再生可能エネルギー研究所が2012年のデータをもとに2013年に発表した報告書では、米国での太陽電池設置にかかる総コストのうちソフト・コストが占める割合は64%に達した。

 ソフト・コストには、ハードウェア設置にかかる以外のコストすべて、すなわち許可取得や資金調達、税金、販促、営業、供給網関連のコストが含まれる。

 つまり、それらのコストをそれぞれ少しずつ減らすことができれば、画期的な技術革新によってソーラー・パネルの効率を上げなくとも、太陽光発電のコストを下げられることを意味する。各過程を合理化し、データを使って効率を高めることがソフト・コスト削減のカギを握ると指摘される。

 米エネルギー省が運営する補助金制度「サンショット・プログラム」では、ソフト・コストの削減が5つの重点課題の一つとみなされている。しかし、サンショット責任者のミン・リー氏は、「人間の行動」にかかわることから、それがおそらく「最も難しい課題」と述べた。

 シリコン・バレーの起業家や投資家にしてみれば、ソフト・コストは改良や革新の潜在性が大きい領域だ。素材科学の画期的発見を通じて発電効率を高めることはきわめて困難だが、コンピュータ科学を活用してシステムを効率化することは、比較的手の届きやすい目標だ。

 サンショット・プログラムは20日、ソフト・コスト削減を目指す新しいコンテスト「サンショット・カタリスト(SunShot Catalyst)」の実施計画を発表。自動化やアルゴリズム、データ、ソフトウェどを活用する優れた問題解決方法を考案した団体に50〜100万ドルの賞金を出すものだ。この種の事業に取り組んでいる新興企業はすでに多数存在するため、コンテストには多数の応募者が集まると期待される。

 ソフト・コスト削減でも重要性の高い分野の一つが、資金調達コストと言われる。家庭用屋根上システムのための新しい資金繰りのモデルは米国で急成長しているが、大型開発計画の資金調達コストは、ほかの発電事業計画に比べて今もなお割高だ。

 もちろん、長期的にはソーラー・パネルの発電効率をもっと高める必要はある。しかし、2020年までに1キロワットあたり6セントのグリッド・パリティ(再生可能エネルギーによる発電コストが従来型の発電方法によるコストや電気料金と同等かそれ以下になるコスト)を実現するというサンショット・プログラムの目標を達成するには、短期的にはソフト・コストの削減が欠かせない。

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