住宅配線が不要の太陽光発電フィーダー 〜 新興企業インフィニットが開発

 バージニア州の新興企業インフィニット・インベンション(Infinite Invention)は、屋根上ソーラー・パネルの設置コストを下げると同時に発電量の制御能力を電力会社にもたらす可能性のある装置を開発した。

 ギガOM誌によると、「コネクトDER(distributed energy resources)」と呼ばれる同装置は開発初期段階ではあるものの、設置コストを大幅に削減できる可能性から、米エネルギー省の「サンショット」制度を通じて2回にわたって計84万1000ドルの開発補助金を獲得している。

 同装置は、電力メーターとほぼ同じ大きさの円柱型で、メーターとその筐体のあいだに取り着けられる。それによって、ソーラー・パネルのインバーターと住宅のあいだをつなぐ配線を排除できる。その代わりに、同装置に配線を回して、太陽光発電システムをメーターの筐体にフィードできるようにする。

 インフィニットの製品部長ジョン・クナウア氏によると、ソーラー・パネルと住宅をつなぐ配線を排除することで、パネル設置コストを最低でも500ドル前後、高ければ数千ドル節約できるようになる。

 コネクトDERは1台につき10キロワットまでの発電容量に対応できる。

 同社は5月に、フロリダ州のオーランド市公益委員会、およびメリーランド州のペプコ(Pepco)とのあいだで二つの試験運用プロジェクトを開始した。オーランドでは、公益委員会が所有する5軒の住宅に同装置を設置し、ペプコのプロジェクトでは10軒を対象としている。いずれも2015年5月まで試験運用を続ける計画だ。

 同社はまた、バーモント州のグリーン・マウンテン・パワーとも協議を進めている。

 インフィニットは、現行機種より高位装置の開発に着手しており、ソーラー・パネルの発電量を監視および制御する機能を追加する計画だ。携帯電話通信機能を搭載してコネクトDERがインバーターとで通信できるようにし、インバーターが発電量を制御する。

 個人住宅のソーラー・パネルが増えるにつれ、その発電量の制御は重要性が増しているが、現時点で公益会社にその能力はない。ほとんどの州が、公益会社による自社保有以外のソーラー・パネルの発電量制御を禁じる規制を設けているためだ。この種の能力を電力会社に許可するのは、強い反発を招くことが予想される。

 インフィニットでは、コネクトDERの高位機種を2015年第1四半期中に投入する計画だ。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

資格の学校TAC
アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 2023年2月14日

    愛するアメリカ
    サンフランシスコの町並み 一年中温暖なカリフォルニアだが、冬は雨が降る。以前は1年間でたった...
  2. キルトを縫い合わせたような美しい田園風景が広がるグラン・プレ カナダの東部ノヴァスコシア州に...
  3. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  4. 九州より広いウッド・バッファロー国立公園には、森と湿地がどこまでも続いている ©Parc nati...
  5. 2022年12月9日

    住みたい国
    熊本県八代市の「くまモンポート八代」で 8月の終わりから9月中頃にかけて、私とニナは日本に飛...
  6. 2022年12月7日

    日常の些事
    冬の落ち葉 年齢を重ねると、だんだんと感動が薄くなるとはよくいわれる。ほとんどのことは過去に...
  7. 2022年12月6日

    美酒と器
    酒器の種類 酒器にはさまざまな素材、形のものが存在する。適切な器を選ばないとお酒本来...
  8. 契約上のトラブル 広範囲にわたる法律問題を扱う弊社にはさまざまなお問い合わせがありま...
ページ上部へ戻る