紙コップの再生問題を解決〜プラスチック層の分離が簡単に
- 2014年7月22日
- アメリカ発ニュース
表面のプラスチック・フィルムが簡単にはがせて再生しやすい紙コップが、英国で開発された。
ビジネス・ウィークによると、コーヒーショップなどで使われている普通の紙コップは、紙だからすべて再生利用されていそうだが、実はそうではない。これは液漏れ防止のため内側の表面にプラスチック・フィルムが塗布されており、除去する技術はあるもののコストがかかるためだ。スターバックスの場合、年間40億個の紙コップの再利用率は約39%にとどまっている。
そこで英国の発明家マーティン・マイヤースコフ氏は、一般的な再生工程で紙とプラスチックの薄膜がきれいに分離する紙コップ「グリーン・ユア・カップ(Green Your Cup)」を発明した。カップは再生工場で新聞、雑誌などほかの紙製品と同じように扱え、インク、ホッチキス、プラスチック・フィルムなどを除去するための石けん水に一緒に浸せば処理できる。
紙再生業者が今のようなカップからプラスチック膜を取り除く費用を賄うには、できるだけ多くのカップを集めて処理し、費用を上回る販売収入を得る必要があるが、紙コップの使用量を増やすことは建設的でなく、店のカップを陶器にすれば何度も使えるが消費者の受けは良くない。また、紙コップはコンポスト(堆肥)に分解することもできるが、その過程で温室効果ガス(GHG)が出る。このため紙コップが再生紙に占める割合は依然として小さい。
マイヤースコフ氏は現在、英国のコーヒーショップ数軒と導入計画を進めており、紙容器メーカーとも既存の生産ラインに追加できるカップ製造機のライセンス供与について交渉している。生産コストは10%割高となる見込みだが、2015年までに全店で紙コップの全面リサイクルを目指しているスターバックスのような企業は、使う価値ありと判断する可能性がある。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年7月16日 アメリカ発ニュース
米技術業界重鎮ら、トランプ氏の激励をあいついで表明 〜 暗殺未遂速報を受けて続々と投稿
-
ターゲットとショッピファイが提携 〜 ターゲットのオンラインいちばに中小の小売業者らが出店可能に
-
人工知能銘柄が今後10年の株式市場を動かす 〜 シスコの元CEOのベンチャー・キャピタリストが予想
-
2024年7月8日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
スマート包帯の研究&開発が前進 〜 傷口の状態を遠隔追跡、包帯から投薬や電気刺激を可能に
-
飲食店で印刷メニューが復活~QRコード不評で
-
2024年7月1日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
ウェザーXM、ウェブ3とIoTで気象データに革新 〜 動く気象観測所群の分散型連携網を構築
-
米消費者のガソリン車好き続く~KPMGの意識調査
-
2024年6月27日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
対中EV貿易戦争、様々な副作用も
-
傷が早く治る、次世代ばんそうこう~医師との通信も可能に
-
生体認証決済が米国で拡大しつつある 〜 マスターカードやJPモルガンも導入へ