シーメンス、需要反応アグリゲーターと提携 〜 米国で初の大規模導入へ

 シーメンス(Siemens)は、需要反応(DR)管理システムを米国市場で大規模に導入するために、ダイレクト・エネルギー(Direct Energy)と提携した。

 ダイレクト・エネルギーはイギリスのエネルギー大手セントリカ(Centrica)の子会社で、米国内に600万件ほどの個人および企業顧客を有し、需要反応アグリゲーション・サービスを提供している。

 グリーンテック・メディアによると、シーメンスは今回の提携を通じて、自社の需要反応管理システムをアグリゲーション市場で初めて使用する。顧客に到達する送電網に対し公益会社が直接的なコントロールを持たずに需要反応サービスを導入するのも、それが初の例となる。

 ダイレクト・エネルギーは、これまでにハネウェルやオーパワーと提携して住宅用需要反応サービスを提供してきた。しかし、今回の提携では、商業および産業顧客が主な焦点となる。

 ダイレクト・エネルギーは、昨年のヘス・エネルギー(Hess Energy)買収を通じて商業および産業顧客の多くを取得した。PJM、ISO-NE、ERCOT、NYISOといった送電網運営会社のサービス圏内に2万3600件の商業および産業顧客を有しており、需要反応アグリゲーターとしては最大級となる。

 シーメンスは、これまでに米国とカナダの比較的小規模な公益会社を通じて需要反応管理システムを導入してきた。また、より大規模の民間電力会社や送電網運営会社との協力も進めている。

 しかし、ダイレクト・エネルギーとの協力では、システム内の建物ごとにエネルギー・メーター・データを確認できるようにするなど、中核技術に変更を加える必要があった。

 「電力小売会社は、必ずしも電力会社のようにメーターへのアクセスを有していないが、顧客ごとのサブメーターをすでに導入済みだ」「われわれは、それらのサブメーターを統合して、需要反応の実行中にリアルタイムに近いデータを示す計画だ」と、シーメンス・スマート・グリッドのサチン・グプタ需要反応製品部長は説明した。

 需要反応アグリゲーター市場には、エネルNOC(EnerNOC)、コンステレーション・エネルギー(Constellation Energy)、コムヴァージ(Comverge)、NRGエネルギーといった競合社がある。

 コンステレーションは2011年にCパワー(CPower)の買収を通じて、またNRGは昨年、エネルギー・カーテイルメント・スペシャリスツ(Energy Curtailment Specialists)の買収を通じて、商業および産業顧客を拡大している。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 2023年12月8日

    アドベンチャー
    山の中の野花 今、私たちは歴史上経験したことのないチャレンジに遭遇している。一つは地球温暖化...
  2. 2023年12月6日

    再度、留学のススメ
    名古屋駅でホストファミリーと涙の別れ(写真提供:名古屋市) 以前に、たとえ短期であっても海外...
  3. 移民法 永住権(グリーンカード) 永住権の取得は、結婚による申請や雇用による申...
  4. 2023年10月8日

    若者の自殺
    かなり重いテーマになってしまうのだけれど、最近、若い世代の自殺について考えさせられることが...
  5. 2023年10月6日

    フィレンツェの日々
    フィレンツェの遠景 誰にでもささやかな夢がある。イタリアで長い休暇を取ってみたかった娘家族は...
  6. 縦横無尽に川が流れ、湖や湿地帯、針葉樹林などの美しい自然が広がるピマチオウィン・アキ。世界複合遺産...
  7. こどもの進学の資金集め、老後の生活など、さまざまな理由で資産運用を始めたい人のために、アメ...
  8. パンデミックの終焉とともに、今年の春以降、各国間の交流が再開した。そして私は5月、日本の某学校法人...
ページ上部へ戻る