あらゆる角度の日差しに対応 〜 グリント、ソーラー発電向け新素材を開発

 ソーラー・パネルはこれまで、装置にまっすぐ当たる光からしか発電できなかったが、あらゆる角度の日差しを活用できる新素材が開発された。

 オイルプライス誌によると、カリフォルニア州の新興企業グリント・フォトニクス(Glint Photonics)が開発した新素材は、時間帯によって入射角が異なる日光をすべて取り込める。そのため、パネルの角度制御装置を設置する必要がない。

 米エネルギー省も同技術を高く評価し、最先端研究プロジェクト局(ARPA-E)から研究助成金を支給している。

 近年、ソーラー・パネルには複雑な仕組みが取り入れられているほか、より小さく、より低価格のソーラー・セル(太陽電池の基幹部品)が作れるようになった。

 しかし、既存の方法は鏡やレンズを使うため、太陽の動きに合わせて角度を正確に調整しなければならず、その安定性を確保するために高価な鉄やコンクリートの構造物が必要になる。

 それに対しグリントの集光技術は、比較的単純ではるかに安上がりだ。まず必要なのは、日光を集めるための安くて薄いレンズと、従来のパネルの500倍の光を集められるガラス板。

 このガラス板は、両面が反射性の素材で覆われ、日光を内部に閉じ込める。ガラス板に入った光のエネルギーは、裏と表の素材の間を往復しながら端にたどり着くため、エネルギーの集中する端を小さなセルと接続すれば効率良く光エネルギーを吸収し発電できる。

 一方、ガラス表面の素材は、太陽の動きに合わせて異なる角度から差し込む陽光を最大限に吸収できるよう自己調整するため、日光を正面から受けるための構造は必要ない。

 グリントのピーター・コゾドイ最高経営責任者(CEO)によると、同社のパネルは、市販されれば1キロワット時あたりの発電コストがわずか4セントと、従来の最高級パネルの半分で済む。

 同社は、幅約1インチの小さな試作品を使った実験しか行っていないが、エネルギー省から受け取る220万ドルの助成金によって、商業用でもほぼ十分な大きさの幅約1フットのパネルで実験を開始できる見通しだ。

 ARPA-Eのプログラム責任者によると、残る課題はレンズとガラス板からソーラー・セルに供給される日光量をいま以上に増やす方法を見つけることだ。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 2024年8月12日

    異文化同居
    Pepper ニューヨーク同様に、ここロサンゼルスも移民が人口の高い割合を占めているだろうと...
  2. 2024年6月14日、ニナが通うUCの卒業式が開催された。ニナは高校の頃の友人数名との旅行...
  3. ラブラドール半島のベルアイル海峡沿岸に位置するレッドベイには、16世紀に繁栄したバスク人による捕鯨...
  4. フェムケアの最新事情 Femcare(フェムケア)とは「Feminine」と「Car...
  5. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  6. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  7. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  8. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
ページ上部へ戻る