背もたれめぐるトラブル続出〜航空機内混雑で、緊急着陸も増加
- 2014年9月9日
- 米国ビジネス
航空機内の座席の背もたれをめぐる乗客同士のいさかいが増えており、8月下旬以降の9日間だけで3便が緊急着陸を強いられた。
ブルームバーグ通信によると、最近では9月1日にニューヨークからフロリダ州ウェストパームビーチに向かっていたデルタ航空機で、32歳の女性が折り畳みテーブルにうつぶせになって休んでいる時に前席の客が背もたれを倒したため頭に当たり、女性が激怒して前の客と口論になった。客室乗務員がなだめようとしたが状況は悪化。女性は飛行機の着陸を要求するなど闘争的になり、他の客の安全も懸念されたため、途中のジャクソンビルで降ろされた。
8月27日にパリからマイアミに向かっていたアメリカン機でも、前席の客が背もたれを倒したことに腹を立てた61歳の男性が仲裁に入った乗員の腕をつかむなどしたため、機はボストンに迂回。男性は機内で航空保安官に手錠を掛けられ、着陸後に逮捕された。
8月24日のユナイテッド機では、デンバーからニューアークに向かう途中、前席の背もたれが倒れないように「ニー・ディフェンダー」と呼ばれる小道具を取り付けた男性が前の客と口論になり、前の客から水の入ったカップを投げつけられる事態となったため、シカゴに緊急着陸している。
航空業界は2009年までの9年間に合わせて580億ドルの赤字を出していたが、需要に合わせて座席数を減らすなどして業績を改善させた。しかし、これによって便数が減り、利用者の増加に従って機内はより混み合うようになっている。運輸省によると、今年5月の平均座席占有率は85%と10年前の75%から大幅に上昇している。
同時に機内のトラブルも増えており、国際航空運送協会(IATA)によると、10〜13年は1300便当たり1件の割合で問題が起きている。手に負えない乗客のために連邦航空局(FAA)が強制措置を講じた回数は、ピークの04年には330件に達し、13年は167件で、今年は6月までで59件。全て座席のせもたれが原因だった。
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