4Kテレビ規格、近い将来にHDを駆逐か 〜 意見が分かれる専門家たちの予想

 高精細(HD)画質の4倍にあたる解像度を武器に登場したウルトラHD(4K)は、テレビ製造業界において新たな業界標準として受け入れられつつあり、近い将来にHD技術を市場から追い出すのではないかという見方も浮上している。

 テレグラム紙によると、2013年に市場投入された4Kテレビは当初、65インチ型で6500ドルと高額だったこともあり、さほど普及しなかったが、今年に入り、価格はすでに4000ドル台にまで下がり、本格的に普及すると期待される。

 現段階では、同じ大きさで比べると液晶ディスプレイ(LCD)のHDテレビほうがはるかに安いものの、新しもの好きの消費者にとって、4Kテレビは魅力的な価格とみなされるまで下がったと言える。それと同時に、4Kテレビが普及することで、HDテレビの存亡も危ぶまれている。

 ただ、液晶画面のHDテレビは生き残ると主張する専門家も多い。理由は、50インチ以下では、既存のHDと4Kのあいだで画質の違いがほとんどみられないためだ。50インチ以下の機種では画面密度が高いため、解像度を引き上げてもその効果が分かりにくい。

 一方、大型スクリーンの場合は、4KとHDの違いが明らかだ。たとえば、4Kスクリーン上の静止画面を近接からデジタル・カメラで撮影してもピクセルがほとんど目立たない。

 しかし、4Kテレビがこれから普及すると予想するのは時期尚早という意見もある。4Kテレビが売れ始めると生産台数が増えることで生産コストが下がり、小売価格がこれから低下すると予想されるため、消費者が購入を先送りする可能性も否定できない。

 それに加えて、現時点では米国の主要テレビ放送局は4K対応番組を放映していない。

 ただ、オンライン動画賃貸サービス最大手のネットフリックス(Netflix)は、一部のコンテントを4Kに対応させている。また、パナソニックは、同社の最新4Kテレビ機種「パナソニック4K」のリモコンにネットフリックス・ボタンを付けて対応している。そのほか、ユーチューブでも4Kコンテント用チャンネルを設けている。

 4Kテレビ普及の障害となっているもう一つの要因は、インターネット接続帯域幅だ。4Kコンテントの配信には、最低でも毎秒25メガ・ビットの転送速度が必要だが、ほとんどの世帯では、それだけの大容量転送に対応していない。

 4Kテレビが今後、市場を席巻するのは必至だが、消費者がどの時点で購入し始めるのか、その予想は難しい。

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