アマゾンCEOの宇宙事業、ロケットエンジン開発に参画

 アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が所有する航空宇宙企業ブルー・オリジン(Blue Origin、ワシントン州)は17日、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA、コロラド州)が運営するロケット「アトラス5」用の新エンジン開発でULAと提携することを発表した。

 ニューヨーク・タイムズによると、ULAはボーイングとロッキード・マーティンの合弁事業で、過去10年間に米国が打ち上げた軍事偵察衛星のほとんどを手掛けている。アトラス5にはこれまで、ロシア製のRD-180エンジンが使われているが、最近はクリミア(ウクライナ領の自治共和国)をめぐるロシアとの緊張関係が高まり、ロシアは米国の経済制裁を受けて今年5月にRD-180の出荷を中止する可能性をほのめかしたため、代わりのエンジンを準備する必要が生まれた。

 米航空宇宙局(NASA)は、終了したスペース・シャトル計画に代わって国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を輸送する有人宇宙船の開発をボーイングとスペースXに委託したばかりで、ボーイングはこの有人宇宙船の打ち上げにもアトラス5を使用する計画。

 電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が所有するスペースXは、既存のロケット「ファルコン9」を使う予定。初飛行は早ければ17年初頭にも行われる可能性がある。

 ULAは、冷戦後ロシアとの技術協力を促進する動きの一環として1990年代からアトラス5にRD-180を使ってきたが、ブルー・オリジンの協力で国産の新型エンジンを搭載できれば、今後NASAや米軍の事業にロシア製エンジンを使うという政治的に微妙な状況を避けることができる。

 RD-180は信頼性が高い上、米国で入手できるどんなエンジンよりも安く、ULAは現在2年分の打ち上げに十分な在庫を持っている。ブルー・オリジンとULAは4年以内に新しいエンジンを開発し、2016年には本格的な試験を実施、19年には初飛行を行う計画だ。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る