IBMとエアーライト、2000倍の集光器を開発 〜 エネルギー変換率は80%
- 2014年9月29日
- 環境ビジネス
IBMリサーチとスイスのエアーライト・エネルギー(Airlight Energy)は、太陽光の放射を2000倍に高め、同時に浄水と空調を提供する新しい集光器(パラボラ・アンテナ)を発表した。
コンピュータワールドによると、両社が共同開発した集光器は、水冷式のソーラー・チップを使用して、太陽光エネルギーの80%を利用可能なエネルギーに変換できる。
集光器は高さ33フィートで、晴れた日には12キロワットの電力と20キロワットの熱を生成する。スイスのIBMリサーチで同事業の主任を務めるブルーノ・ミシェル氏によると、そのエネルギーは、平均的な住宅数軒分の電力と熱に相当する。
集光器に取り付けられた鏡が太陽光をチップ上に集めることによって発電する。通常であればチップの温度が摂氏1500度に達して発火するが、IBMの研究者は、スーパーコンピュータの技術を応用した水冷システムを用いることで、105度に抑えるのに成功した。
ソーラー・チップと鏡、それに電力を受ける端子は大型で透明の樹脂箱に収められており、雨やひょうの被害を受けない設計。
IBMとエアーライト・エネルギーは現在、同技術を試験運用しており、2017年までに販売したい考えだ。
エアーライト・エネルギーのイラリア・ベッソーニ事業開発責任者は、特に都市部や、逆に都市部から離れた遠隔地での利用に適していると説明している。
集光器は約10トン、直径47ヤードのため、屋上での設置には向かないが、ショッピング・モールやホテルといった大型の商業施設で利用できる。
「ショッピング・モールであれば駐車場に大きな日陰を作ることもできるため、二つの利点がある」「観光地の島など、エネルギー・コストが高い遠隔地に理想的だ」とミシェル氏は話す。
一般的には、集光器は1970年代から開発されおり、その大半はレンズや凹型の鏡を使用して太陽光を集める。平面のソーラー・パネルは変換率が15〜20%だが、集光器を使えば放射を約500倍に高めることができる。IBMとエアーライトのシステムは2000倍で、その変換率は80%に到達する。
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