カナダの水道管理にIBMの大規模データ技術 〜 水源の状況データを活用

 カナダのサザン・オンタリオ・ウォーター・コンソーシアム(SOWC)は、水道管理の効率化を目指す大規模データ(Big Data)の活用プロジェクトに着手した。

 同プロジェクトには、カナダのIBMが提供する新しいデータ統合プラットフォームが使われている。

 エンバイロメンタル・リーダー誌によると、同プロジェクトでは、水源や廃水、飲料水管理、環境毒物、検知器開発といった分野を最終的に対象とするが、データ・セットの作成対象として、まずは水源のデータ収集が始められている。水源の状況は、農業や工業、生態系、都市水道とあらゆる領域に影響するためだ。

 データが収集されているのは、グランド・リバー流域に含まれる三つの水源の状況だ。それら三つの水源は、未開発、開発中、開発済みの3段階にある。120個以上の検知器を使って1時間に600件のデータ・ポイントから収集して、降雨や降雪の影響、土壌の含有水、流れの速度、温度、水質の状況を把握する。

 水質と水量の変化、環境への影響は、都市基盤の整備や修理および刷新に関する意思決定に際して重要な役割を果たすと期待される。

 各地の水源関連データが公共物として公開されるようになって以来、水源データ収集には大きな関心が寄せられるようになった。SOWCでは、ネバダ州、オランダ、スイス、ブラジルで収集された研究データも活用している。

 SOWCのブレンダ・ルーカス氏によると、水道管理における技術活用の一つの課題として、実際の業務環境のなかで技術を使用して、その商業的な利点を証明することが挙げられる。

 多数の検知器からのデータを統合して一つのデータベースから取り出せるようにすることで、SOWCは研究活動や開発業者の商業活動に役立つことができる、と同氏は強調する。

 IBMの大規模データ技術は2014年に入って、ジョージア州のフリント・リバー・パートナーシップ(Flint River Partnership)でも導入された。そのプロジェクトでは、気象予報技術を使って農業を効率化することを目指している。

 また、IBMは最近、中国で環境とエネルギー関連の活動を支援する10年計画の大規模データ・プロジェクト「グリーン・ホライズン」も開始した。

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