大規模データ活用による省エネが明確に 〜 大学や小売店、政府機関で実証
- 2014年10月6日
- 環境ビジネス
大規模データ(Big Data)を活用した省エネルギーの成功例が多数登場し、データ収集および追跡、そして分析の実効性があらためて示された。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、マサチューセッツ工科大学(MIT)は、キャンパス内の数十という建物が使用しているエネルギーと水道を監視するシステムを構築している。KGSビルディングス(KGS Buildings)が開発したソフトウェアを使って、膨大な量のデータを収集し、監視室の壁一面のモニターに状況を色分けして刻々と示している。
建物が赤色で表示されていれば、照明や空調、換気、水道のいずれかに問題が生じていることを示す。同システムのおかげで省エネを達成できるうえ、温度や湿度に関する苦情も減った、とMITの建物システム・アナリストは話す。
小売店でも同様のシステムの導入は増えている。服飾雑貨小売り大手のコールズは約7年前に、エネルギー消費量を2015年までに同規模の小売店より約30%少なくするという目標を発表した。
その目標を達成するには、はるかに多くのデータを収集する必要があった、と同社持続可能性責任者のタリ・エマーソン氏は話す。コールズの店舗は、規模も建物の築年数もまちまちで、エネルギーのニーズや使用パターンがそれぞれ異なる。
そこで同社は、スカイファウンドリー(SkyFoundry)とエンバイロメンタル・システムズ(Environmental Systems)のソフトウェアに投資した。多数の要因をすべて分析して、各店舗ごとの省エネ計画を立てるのが目的だった。同ソフトウェアは、全店舗の状況データを15分間隔で読み取っているため、異常をすぐに察知して対応できるようにする。
「新しい取り組みでデータを処理している会社が爆発的に増えている」と、ナビガント・コンサルティング(Navigant Consulting)でエネルギー管理システム市場担当の調査責任者を務めるノア・コールドシュタイン氏は指摘。同社では、北米のエネルギー管理システム市場が今年の7億7500万ドルから2020年までに16億ドルに成長すると予測している。
この成長には規制強化も加担している。過去数年にニューヨークとシカゴ、サンフランシスコ、ワシントンDC、ボストン、テキサス州オースティンの6都市が建物エネルギー使用量の報告を義務付ける条例を制定した。ほかの市や州でも同様の条例や法律を制定する動きがある。
また、連邦政府の建物を管理している共通役務庁(GSA)は、ファーストフュエル・ソフトウェア(FirstFuel Software)の分析ツールを導入して、大規模建物のエネルギー使用量評価を義務付けた連邦法に準拠している。その結果、これまでに年間1300万ドル前後を節約したという。いまのところその約90%は評価コストの節約だ。
同ソフトウェアを導入したことによって、過去12ヵ月のデータを15分間隔で見られるようになった。ワシントンDCにあるレーガン・ビルディングでは車庫の換気扇が1日2回、不必要な時にフル稼働していることが分かり、それをリセットした結果、年間80万ドルのコスト削減を達成できたという。
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